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ス、と軽い音を立てて障子が開いた。総悟、声を掛けられ沖田はそちらを見上げる。土方が、いた。風呂上りなのか薄い着物一枚で、その手に荒縄を持って、偉そうに仁王立ちをした、土方が。冷たい瞳の奥にチリチリと赤い炎を燃やしている土方は明らかに発情していた。沖田はぼんやりと土方を見上げ、きゅと拳を握り締める。 不意に、土方が一歩足を出した。ビクと大袈裟な程沖田の肩がはねる。そしてふいと目を逸らした。土方が近づいてくるのが分かる。ゆっくり、ゆっくりと。 沖田の傍までくると土方はしゃがみ込み見せ付けるように荒縄を両手で掴みビンと張らした。沖田の肩が震えているのが土方にも分かった。いつもは庇護欲をそそる今の彼の姿も、今は熱く火をつけ始めた性欲を煽る以外の何ものにもならなくて。 「手、出せ」 「…いやでさァ…」 少し怯えたように、沖田が言った。彼らしくもない、弱気な様子。けれど土方は聞かず震える細い腕をとった。あ、と少し焦り気味の声が沖田から出る。いや、と抵抗したけれど腕力で土方には敵わない。ぐい、と強く腕を引っ張られた。そしてギュ、ギュ、と強く固く両手を縛られる。 「ひじかた、さんっ…」 高く叫ぶように沖田が言った。縋るように土方を見いや、とまた首を振る。ジンジンと焼け付くように、腕が痛かった。これから縛られたまま乱暴に犯されあらぬ所まで縛られるのだと思うとゾッとした。なんとかして、土方の欲を鎮めようとするが全て無駄な努力だった。とん、と肩を押され今敷いたばかりだった布団の上に押し倒される。 「いやだ、土方さん…ッ」 ころ、と転がって逃げようとしたら肩を強く布団に押し付けられた。痛みに顔が歪む。けれどもなんとか逃れようと暴れたら頬を叩かれた。バシンと大きな音が鳴る。ヒ、と小さい悲鳴が喉から出た。 土方さん、とそう叫んだらまた同じ方の頬をぶたれた。口の中が切れたのか唇の端から血がツと垂れる。 「いやだよ土方さん…」 じり、と肩に置かれていた手が離された途端沖田は寝たまま少し後ろに下がった。頬が痛い。血の味に吐き気がしそうだ。瞳に涙が溜まってくるのが分かる。こんな事で泣くのだなんて、恥ずかしいし嫌だけれど恐いのだ。土方が、 恐い。まるで獲物を狩る狩人のようなその鋭い視線に沖田は竦んでしまう。 乱暴に、着物の襟ぐりの中に手を入れ胸を弄くられた。平らな白い胸は性感帯ではないはずなのに触られるとどうしようもなく気持ち良くなって甘い声を漏らしてしまう。アァと高い声を上げたらにや、と土方が意地悪く笑った。嫌がってても感じてんじゃねェか、と耳元で低く囁かれた。唇を噛む。悔しさに、屈辱に、自分へのやるせなさに。 土方は、典型的なサディストだった。 毎晩のように遊郭に行く土方に耐えられなくなって告白したのは、自分。 遊女の代わりに自分を抱いてくだせェ、と頼んだのも、自分。 優しく抱いてくれる時もある。いや、大半はそうだ。けれども、時々。一ヶ月に一度あるかないか、土方は性格が変わったように沖田を抱く事があった。床に叩きつけるように押し倒され叩かれて縛られて慣らす事もされずペニスを挿れられるのだ。 それだけなら、いい。最近では沖田が信じられないような恥ずかしい事や痛い事を強いてくるのだ。毎回どんな事をされるのか、と、 堪らなく恐い。 「ふ、あァ!!」 荒く胸を揉んでいた手がツと突起に触れた。ピンク色のそれは沖田が最も感じる場所の一つで。コリコリと執拗に刺激され堪らなくなって手の平で顔半分を隠す。サラサラの髪が指の隙間に数本入った。顔を横にし目を伏せさせ眉を寄せている、彼。ピンク色の唇は僅かに震えているようにも見えた。細く白い首筋が真っ白な布団に溶け込んでいる。色っぽい、と、土方は思った。とても艶やかだ。 「ヒあァ!」 不意に撫ぜるような愛撫をされていた乳首にカリと爪を立てられた。冷たい痛みが走り沖田は顔を顰める。グ、とより力を入れてくる土方の手の甲に自分の手を重ね、不安そうに土方を見上げた。見えたのは冷たい瞳で自分を見下ろしている土方の 顔。不意に沖田は泣きそうになった。一方的で強引な セックス。彼は、土方は、自分の事を愛して抱いてくれてるのだろうか。 「イ、たッ、…イヤいたッ、い…ッ!」 爪を立てあまつさえグリグリと上下にソレを動かす土方に首を振って痛みを紛らわす。けれど顔を掴まれ無理やり口と口を合わせられた。激しい、ディープキス。乱暴に口腔を弄くりながら、土方の手が沖田の滑らかな太ももに触れた。途端に出た嬌声は合わされた口の中に消えていく。いやらしく、巧みに動く手の平に沖田は感じビクッと幾度も身体を撥ねさせた。 身体の力が抜けていく。甘美な誘惑に、落ちる瞬間。 「アァッ、あっ、ウ、あぁ…ッ」 太ももを這っていた手が沖田のペニスへと触れた。ヒクンと大袈裟に震え沖田はキュ、とシーツを握り締める。ハァー、ハァー、とゆっくりと短い息を繰り返した。太ももの先が痙攣したかのようにピクピクと震えている。 「は、アアッ、ふァっ、ひじ、かたさッ…っ」 ゆるゆると緩くゆっくりと根元の部分を擦るだけの刺激が直に焦れったくなってきて。沖田は引きつった声を上げた。潤む瞳で土方を見据える。震える唇が言葉を放とうか迷う。はっきり言わなければ、土方は沖田が望む事をしてはくれない。ちゃんと触って、イかせて下さい、と言わなければ、土方はしてくれない。 「アぁあ、ッ…」 言いよどんでいたらキュ、とペニスの根元をキツク握られた。すぐに絶頂を迎えれる状態だったペニスにはキツイ仕打ちだった。情けなく悲鳴を漏らすのは避けられたが顔が痛みに歪んでいる。堪らなくなって沖田は叫んだ。 「いや、おねがい土方さん…ッ、やさしく、して…!」 哀願とも取れるその叫びを土方は無視した。返事の代わりに根元を小指と薬指で強く握ったまま他の指で器用にまた扱き始めたのだ。今度は絶頂を促すかのように強く、荒く。すぐにでもイってしまえそうなその刺激にけれど強く握られたソレは絶頂を迎えられなくて。ヒクッと、沖田の喉から小さく嗚咽が漏れた。それと同時に沖田の頬を滴が伝った。それを始めに静かに泣き始める沖田にも、ただただ欲を煽られるばかりで。 乱暴に、思いのまま欲望が赴くままに抱いてしまったあと、土方は必ず後悔する。彼は、沖田は、いつも激しく抱くと静かに泣いた。自分の涙が土方の意思を変えれぬ事など分かっているように。気付かれないようにと、静かに泣いた。シている最中は沖田の一挙手一投足全てに欲を煽られ虐め抜く事しか考えられないのだが、終わった後漠然とした後悔と罪悪感に、侵されるのだ。優しく、沖田の望むように愛してやりたいのに。それができない自分は沖田を抱いていいのだろうか。 「……言えよ」 低く、土方が言った。ピクと沖田の身体が僅かに反応を返す。 「オネダリ、してみろよ」 「ウ、」 そう言った後、けれどもそれでもオネダリをしない沖田が、土方は気に入らなかったのか根元を握ったままめちゃくちゃに小さなペニスを扱いた。 「アあぁッ、アっ、う、ンンっああァっ、ヤぁっヤメッ…!」 その激しい刺激に沖田は高く嬌声を上げ身体を捩じらせた。なんとか恥ずかしい声が漏れぬよう唇を噛むのだが余りにも強すぎるその痛みと快楽に溢れ出る声を抑えきる事ができない。くねくねと身体を捩りその余りに激しすぎる快感から逃れようとするのだが土方の手は激しくなる一方で。 「イヤァッ、あぁっ、イ、…ッ、かせて…」 沖田は、ぽろぽろと泣きながら小さな声で哀願した。けれども土方の手は、止まらなくて。次は少し大きな声で、言った。 「イかせてくださっ、ひじかた、さァんッ…」 屈辱に目を伏せながらけれども叫ぶように強く、沖田が言った。それを聞いた土方がフッと意地悪気に微笑う。沖田が自分の手に堕ちる瞬間が、好きだった。欲望に負けて堕落する、瞬間。そして根元の拘束を取ると握りつぶすように強くペニスを扱いたのだ。 「アァッ、あっ、ア」 その痛い程の快楽の波に、沖田は呆気なく精を解き放った。 「はぁっ、ハァ、ハァハァッ…ッ」 目を閉じ肩で激しく息をしながら余韻に浸る。けれども長く浸っていられるはずがなかった。次こそ細い紐でペニスをきつく拘束された。沖田の顔が青ざめる。縋るように土方を見上げたら薄く微笑っている瞳と目が合った。ゾクリと背筋が凍る。 夜はまだ 始まったばかり END |
| 欲を抑えてみた/SMだけが人生じゃないよと言ってみた/ダメだった…orz/沖田がMだったら万事解決なのにね(…) 闇の中の光 041113 |