んちゅ、と、唇と唇が重なり合う濡れた音が耳をついて沖田はほんの少しだけ冷静さを取り戻した。それと同時に盛って熱くなっていた体も少しずつつめたさを取り戻していく。キス一つなんかで満足したわけではなくもちろん萎えたわけでもなくて、銀時を見ただけで熱く昂ぶって興奮してどうもならないと思っていた体が銀時とのキス一つで落ち着きを取り戻しつつあったのだ。沖田は外面では何でもないかのように舌を絡ませて余裕ぶっていたけれど内心とても驚いていた。銀時の唇は沖田に欲しかった冷静さと安らぎをくれそしてちろちろとほんの少しだけしか燃えていなかった性欲を大きく燃えたたせた。
唇が触れ合うのと同時に自然に瞑っていた瞳をあけて顔を見てやろうと沖田は思う。しかし向こうも瞳を開けていて瞳があってしまってその瞳がいつもと違う風に感じられてすぐに沖田は瞳を伏せた。そのまま手を銀時の服の間にもぐりこませ銀時の背に触れると冷たくなっていた手に人肌が温かくて気持ち良さにもう一度瞳を閉じる。その瞬間唇が離された。そして大きな手の平が服の上から背に這わされる。撫でるようにそれが動くと気持ちが良かった。


「…本当に、いーの?」
「今更じゃねぇですか。なんで?」
「やァー、なあんか、こう…、ちゅうとかしちゃったりしてるとね、沖田君の後ろにあの土方君がね、いるような気がしてね。悪いなぁーとかー…思ったり?」
「何で土方に悪いの」
「うわァ、沖田君、いくら土方だからってね、いくら多串だからってね、上司を呼び捨てにしちゃいかんと銀さんは思う訳ですよ。銀さんもね、部下のクソチビにちゃん付けされたりしててね、ちょっと気分が悪いんですよ気軽に呼んでんじゃねぇみたいなね。やっぱそーゆーのはね、きちんとしとかな」
「旦那ァ、だって俺ァあんたとセックスしてみたいんでィ」
「…わー…、今の子はほんっと軽いねぇ」

まぁお零れ貰えるんだから良いんだけど?言うと銀時は沖田のシャツをたくしあげて白い肌を露にした。ひんやりとした空気が肌にじかにあたって寒さに震える。冷たい脇腹を自分とは違う暖かな手で撫でられて沖田は心地よさにふぅと息を吐いた。

「肌つめたいね」
「別に誰とでもするわけじゃねぇですぜィ」
「え?」
「セックス」
「あぁ」

その手が上へと這っていって息づくように触れられるのを待っていた乳首をくにとつまむ。ヒッと沖田は思わず小さい引き攣った声をだしてしまった。指の腹でつままれて捏ねられて沖田は顔を横に向け唇を噛む。

「っう、ァ…」
「沖田くんってこーゆーの、好きでしょ」
「…う、ん」

感じているのをひた隠しにしていたのにあっさりと見破られてしまって沖田は恥ずかしさに横にやっていた視線を下に落とした。その間にもただでさえ冷たくて感じやすくなっているのにいじられてさらに酷く敏感になっているソコに爪を立てられる。ビクッと沖田の体が動いた。

「よ、く…分かりやすね、なんで?」
「なんとなく」
「へぇー…やばいかな、俺。M的オーラでてやす?」
「んーん、大丈夫」

言って片方の手では乳首をいじくって沖田を飽きさせないままもう片方の手でズボンの中に手を入れてペニスへと触れた。その仕草があんまりにも自然で手馴れているなと沖田は思ってそれを土方と初めてした時も思った事をふと思い出す。やはり2人は、似ているタイプだと沖田は思った。ちくりと胸に痛みがくる。

「アッ!」

ふいにぎゅとペニスを握られた。銀時の手のひらの肌の感触とその握りしめてくる力加減が絶妙で一気に腰が砕けそうになる。加えてめいっぱいいじくられた乳首を今度は舌で舐められた。ねっとり、ゆっくりと。銀時は舌を動かすのと同時に頭も動かすものだからふわふわのくせっ毛が肌にあたりくすぐったかった。時々歯があたってそのまま噛み千切られるのではないかと心配になる。

「う、…い、っあ、ア…」

銀時は指遣いも舌遣いもとても巧みで感じやすい沖田にはたまらなかった。すぐに限界がきて足がもう支えていられないとふるふる震えだす。

「や、だんな…た、たってらんね、…」

後ずさりしようとしてけれども後ろは冷たい壁でそれ以上後ろへいけなくてただ背中が擦れて痛いだけだった。快楽と苦痛に顔を歪める沖田を見て銀時はふっと笑う。

「まだ握ってるだけなんだけどね」

馬鹿にしたように言ったのにその言葉に沖田がビクンッと体を震わせたのを銀時は見た。たいそうなマゾにさせられちゃって、思いながら握っていただけのソレを激しく責めて立ててやる。

「ウァ!ああァっ、…く、うっ!」

激しく体をよじらせて沖田は快楽を訴えた。ギュウと髪を掴まれて銀時は僅かに感じる痛みに顔を顰める。そして乳首を舌でもてあそびながら、瞳だけを上にやって沖田の方を見た。感じている沖田の顔は、普段の幼い(と銀時は思っていた)表情からは考えられないくらい扇情的で、銀時をほんの少し欲情させる。それを誤魔化すようにガリと思い切り乳首に噛み付いた。

「ヒァッ!、あ、!ぁ…っ」
「俺とセックスなんて、…何が目的なのかなー?沖田くんが考えてることって、よめないね」
「もくて、っきなんて、っ、あ、う…、〜〜〜っ!!」

自分から話しかけておいて沖田が喋りだすと喋るのは許さない、思って強く指の腹で掴むようにして扱いてやったらあっさりと沖田は達してしまった。下着の中にどろとした液がとびちって気持ち悪いのか沖田が少しうなって腰をよじる。けれど余韻に顔をうっとりとさせて、はぁはぁと荒い息をくりかえしていた。

「ただ、シたかったってーのはっ…、だめなんですかィ…っ?」
「うーん、銀さんすさんでるからねー、絶対何かあるって疑っちゃうんだよね。ごめんね」

答えが気に入らなかったのか沖田が顔を顰める。不服そうに唇をとがらせて、そっぽ向くものだから可愛くていじめたくなった。ズボンと下着を膝のあたりまで下ろして今度はイったばかりでまだふるふると震えているペニスに唇をあてる。や、それだけで高い声を上げれる体に本当に淫乱と呆れるように思った。



「(もくてき、なんて)」

特に思い浮かばないって沖田は思いたがっていたけど、沖田自身否定したかったけれど、本当は、あった。立派な下心が。

「(あんまりにもそっくりなのが、悪ィんでィ)」

土方はもちろん銀時だって、沖田は好きだった。
その2人はびっくりするくらい似ていてびっくりするくらい仲悪くてだけど似たもの同士って絶対に惹かれあうんだってことを沖田は知っていたものだから不安でならなかったのだ。2人がすごくすごく仲良しになって自分だけ疎外されたらどうしようって、1人だけ置いてかれて、1人ぼっちにされたらどうしようって、だって土方も銀時も自分が2人を好きなほど好きじゃないって沖田は分かっててだからしっかりと2人の気持ちを繋ぎとめておこうと必死なのだ。

沖田の不安も恐怖も何にも知らずに据え膳食わぬは何とやらの勢いだけで自分とセックスをしようとしている銀時にけれど沖田はとりあえずはよし、と思っていた。体だけ繋がろうとしているその事についての虚しさを感じはするけれど確かに繋がろうとしているという事実に安堵できている。とりあえず今はこれで十分だと瞳を閉じた。


END

 

  よさようなら 051204