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ノックもされずにドアを開かれた。 反射的にドアの方を向いて目に入ったのが土方なのを見て沖田は出かけていた文句の言葉を奥に引っ込める。普段自分の部屋に入る時はノックしてから入らないと怒るくせに本当に自分勝手な人だと沖田は思って文句を言ってやりたかったけど部屋に入ってきた土方はいちゃもんつけれるような雰囲気じゃなかったのだ。 「お前、いくつになったっけ」 「え…」 土方はものものしい威圧感を醸し出したままだった。質問の意図が分からなくて少しとまどって(それから年も覚えてないのかと少し怒って)そうしてから沖田はこたえる。 「15」 「ふーん」 自分から聞いてきたくせに気のない返事を返されて沖田は何なんだと思った。すぐに土方は沖田の目の前まで来て、それからまるで何でもない事のように言った。 「んじゃ、服脱げ」 「は!?」 話が全く繋がっていない上はい分かりましたとすぐにできるような事でも、ない。沖田が嫌がるのなんて当たり前の事のはずなのに土方は眉を寄せてそれがとても不服そうな顔をしてみせた。不機嫌そうな顔をされて沖田は黙り込む。 「いーから脱げって」 「…いやだ」 沖田は反射的にきゅ、と着物の合わせを掴んだ。それに土方の顔がまたより一層不機嫌を露にしてきて沖田は怯えたように土方を見る。 昔は一緒の部屋で着替えるのだって素っ裸になるのだって風呂に入るのだって何の抵抗もなかったけれど今は、違う。そりゃ男勝りだって自覚はあるけれども裸見せて平気でいられるほど恥知らずではない。並みの女の神経だってもってはいる。 「面倒な奴だな」 暫く沖田が黙っていると土方は引く気はないのか舌打ちして手を沖田の方へ伸ばしてきた。じり、と後ろに下がりながら沖田はその手をひっぱたく。 「やっ!や、やだ、土方さん、なにっ…」 しかし土方の大きな手がすぐに沖田の着物を引っつかんでそれをびりと破く勢いで沖田の肌から離した。白い肌が露にされる。沖田の顔に赤みがさした。構わずに、土方はそのまま沖田の体を畳に押し倒す。頭をぶって沖田は顔を顰めた。 「ちょっ…」 そうしてる間に土方が寝転んだ上にのってきて、沖田は吃驚する。何するつもりなのって思って、だけど、だけどここまでしてやる事なんてそうは思いつかない。押し返そうとする手を掴まれもう一方の手が小さな胸のふくらみに伸びているのを見て沖田は確信をした。こいつ、ヤる気だ。 「ちょ、ヤでさァ!!」 「…」 「じょ、じょーだんもいい加減にしてくだせェ…怒りやすよ!」 やわやわとゆるく乳を揉まれて沖田は気持ち良さを隠せずに眉を寄せて震える声で言った。だけど土方が色んな女とセックスしているの沖田は知っていて、体比べられてんじゃないかとかやっぱり乳のためにもう少し何かどうにかしておくんだったとか思っているのに気付いてやっぱり女なんだなんて意識させられてあぁもう何やってんだと思う。コイツも、自分も。 「冗談をいい加減にして欲しいのはこっちだな」 だけれども。 そう言った土方の声があんまりにも冷めていたものだから、沖田の頭の中も一気に冷えた。何浮かれてたんだって思って沖田は自分が浮かれていたのだということに気付く。そりゃそうだ、ずっと、土方に抱かれるのを夢見ていたのだから浮かれたって、喜んだって、それはしょうがないじゃないか。だけど言い訳みたいだって沖田は自分で思った。 「真選組の隊長が処女だったらいろいろ面倒だろうが」 ズキリと確かに激しく痛んだ胸は気にしないようにする。 自分を見下ろす土方の瞳があまりに冷ややかで、沖田は見ていられなくて目を逸らした。自分の考えが、自分が浮かれていたのが、見透かされてるんじゃないかって不安でならなかった。 そして土方がこういう人間だってことは、もう随分前から知っていたじゃないかと自分に言い聞かせる。メリット無しで動く人じゃない。自分とセックスをして何か他にメリットがあるか? 「今から犯してやっからもう犯されてもガタガタ言うんじゃねぇぞ」 どういう理屈だ!沖田は思う。 女がいたらそこを狙われる。いくら沖田が頑張ったって体力的にも戦闘時でも女が男に劣るのはどう見たって明らかな事で埋めようっていったってそう簡単に埋めれるようなものではない。その上例えば敵につかまった時、女は犯されて尋問されるだろう事が多い。いやつかまった時だけでなくて女はいつだってそういう対象として見られる。そんな時処女だったらこちらが不利になるのは分かりきっている事だ。 それは沖田だって分かっていた。女は穴になる。そして土方は穴を許さない。完璧な状態で真選組を保ちたいのだろう。すごくよく土方の気持ちが沖田には分かった。 だけど沖田は犯されるくらいでガタガタ言うつもりはなかった。沖田だって、そーゆーことされるかもしれないって覚悟はもうずっと前からできていたのに。その時はみっともなくわめいたり泣いたりせず甘んじる覚悟をいつだってしていたのに。 ただ、土方に犯されるのだけはいやだった。土方に体だけを求められるのなんて、それだけは耐えられなかった。その他の誰に犯されたって構いは、しないのに。 土方さんって何にもわかってないって沖田は思ってあぁもういいやと諦めて体の力を抜いた。 「(好きなように、しなせぇよ)」 どうせ全部アンタにもっていかれてんだから。今更何とられたって悲しむことなんて一つもない。ただ土方だって何か一つくらい自分にくれたって良いのにって沖田は思って叶うことのない望みをばかばかしく思った。 END |
| インザホール 051206 |