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くしゃみが聞こえて後ろを振り向いたら自分から3メートルくらい離れたところで沖田が鼻をすすっていた。少し前まで自分の隣を歩いていた沖田はどんどんと歩みが遅くなりついには今、もう足を止めてしまっている。それに気づいて欲しくてわざとくしゃみをしたのだろう。 「総悟」 置いていってしまっても良いのだけれど1人で屯所に帰った時の近藤や山崎の反応が目に浮かんで土方は呼びかけた。沖田隊長を置いてけぼりにした、と詰られるのは土方だ。沖田だってもう良い年なんだし、別に1人にさせたってどうって事ないと土方は思うのだけれども沖田は真選組の中でも1番年下だし童顔だしその上女みたいに愛らしい顔をしているからかどうも誰もかれもが沖田に甘い。沖田の性格がそれはもう捻くれていると言う事を分かりきっていてその上で沖田に甘いのだから嫌になってしまう。 「来い」 「…さみぃ」 「うるせぇ。早く来い」 「………」 有無を言わせぬ口調でそう言ったら睨んできた。そしてもう一度、くしゃみをした。ずず、と鼻を啜り鼻の頭を赤くしているさまは子供の時から変わっていない。そうだあの頃は土方さん土方さんと自分の後ろをうろちょろしていた癖に。どうしてこんなにも捻くれた性格になってしまったのだとそう思っているとまたくしゃみが聞こえた。 「……」 何回も続けてでるくしゃみにどうやら1番始めのもわざとではなく自然に出たものなのかもしれないと土方は思いすんと鼻を啜りけれども動かない沖田にしょうがないな、と溜息を吐き自ら沖田の傍に寄った。 「ほら、こいよ」 そう言って掴んだ腕が余りにも冷たくて吃驚してしまう。 「おめ、冷たっ。ンだよこの手血通ってねーんじゃね!?」 「うん、通ってねぇの」 「……へぇ」 言い返そうとしてけれど頭は悪い癖によく回るこの口に付き合っている暇はないと思い簡単に返事を返す。そしてガチガチになって寒がる沖田にしょうがねぇなと自分のマフラーをかけてやった。驚いたように沖田の瞳が開かれる。なんだよ、照れ隠しにぶっきらぼうに言うといや、言って沖田が少し嬉しそうに笑った。 「お前夏は、長袖着込んでピンピンしてたじゃねぇか」 「暑いのは我慢できるけど寒いのは、無理」 「うっそつけや。お前に無理なモンなんてあるかよ」 「失礼しちゃうなァ。寒いのは、苦手なんでさァ」 言いながら白い息を辺りに撒き散らす沖田に言っている事は嘘ではないとは思うのだけれど本当に極端な奴だと思う。そして確かに昔から冬は苦手だったかとふと土方は思い出ししかしここまで嫌いだったかと、考えた。けれども少し考えたところで不意に腕に絡みつかれて思考を停止させられる。 「寒いとさみしい」 沖田が隣で小さく言って絡める腕の力を強めた。 うなだれるようにして身を自分にくっつけてくる沖田を上から見下ろしながら久しぶりだなぁと土方は思う。沖田は時々、本当に時々だけれどもこうやって気弱いになることがある。不器用に甘えてくるその内側で沖田がどれほど不安やさみしさを隠しているのかどれほど安泰を望んでいるのか土方にははかりしれないけれどもそれを考えて胸を少し痛めるくらいはした。本来さみしがり屋の性格なのだろうと土方は思う。 「さみしいと、いやだ」 あんまりにも切なそうに言う沖田に慰めてやりたいと、何とかしてほんの少しで良いから沖田の不安を減らしたいと、思うのだけれどじゃああっためてやるよとかさみしい思いも寒い思いもさせないとかそんな安っぽいせりふしか思いつかなくて土方は頭を痛めた。やはり女相手ではないと得意のおべんちゃらは出てこねぇのかと思ってあぁでもこいつにそういうの言ったってこいつの気分はよくならないし自分の気分なんて悪くなるだけだと思う。 だからそっと肩に手を回してやった。少しでも沖田が温かくなるように強く。 END |
| これ書き始めたの去年の冬だよ こーゆーのは時期を逃すとだめですよね 夏とかにこんな話出されても寒さがよく分からないですからね だめですもんね って事で1年も暖めてた だからちょっと始めと後半違う、気が、しない? アーメン 051213 |