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ふっと沖田の瞳に小さな子供が入って別に意味なんてなかったのだけれど小さい時の自分と重ねてしまった。自分があのくらいの年のころ、道場にいたあのころが、1番楽しかったななんて思ってしまって沖田は急に寂しい気分になる。ただ毎日好きな剣道やって、毎日笑って過ごしていられたあのころ。 いつの間にこんなに汚れてしまったのだろうか。沖田は思った。 あのころは、自分が人を殺す日がくるなんて夢にも思っていなかった。 ただただ剣術が好きで、強くなりたいって、色んな人に勝ちたいって、純粋に思っててそれだけでその大好きな剣術で人を殺める日がくるなんて想像すらしていなかった。 ひたすら勝った時の嬉しさとそのために必要な強さを求めるためだけにやっていた剣術が今こんなに自分の身を守ることに役立つことになるだなんて、誰が予測できただろうか。全くどうしてこんなに強くなってしまったんだなんて沖田は自分の才能と幼いころの努力に怒りを感じたことだってある。 勝ったら人殺し 負けたら 死。 どっちにころんだっていいコトなんて一つもなしだ。 ほんの数年前までは、沖田だってドラマや芝居の人が死ぬシーンでぼろぼろ涙を零してて死んだ人も残された方もどちらもすっごく可哀想だって思ってた。悪役を憎んでむかついて腹立ったりして、だけど今自分がその悪役やってんだから笑えない、しかも現実で、だ。 小さな時の自分が悪役を憎んでむかついて腹立っていたようにいやそれ以上に、自分が殺した人の家族は、自分を憎んでいる恨んでいる死ねばいい死ね殺したい強く強くそう思っているのだろう。一体何人の人がそう思っているかなんて見当もつかないきっと自分に生きていて欲しいと思う人より死んでほしいと思っている人の方が圧倒的に多いあぁ、なんて、自分はこの世に必要がない人間なのだろうか。どうして今生きていられるのだろうか。幾人もの人に恨まれながら死ねと思われながらそれでも生きていけれるそしてそんな風に思われていない人が死んでしまうこの世はなんて、おかしいのだろうか狂っているのだろうか。 ふんわりと、風がふいて沖田はハッとした。過去にやっていた頭が急速にこちら側に戻ってきて、一瞬どちらが現実か分からなくなる。しかし手を見やると、見せ付けられた。血に塗れた、手。こちらが、現実だ。 考えたって、仕方がない。沖田は思う。考えたって何が変わる訳でもない。自分が人を殺してきたという事実が変わる訳でも、これから自分が人を殺さず生きていく訳ですら、ない。 ふと上を見たらさきほど見えた子供がまだそこにいて、沖田は口元だけで笑った。まだ何も知らない何も汚れていないそして限りない可能性を秘めている小さな子供が羨ましくてそして憎たらしかった。ゆら、と、ただその子供を眺めていただけなのに殺意が湧いてきて必死に刀を抜くのを押さえようとしている自分に沖田は気付く。気付くと、何を感傷的になっていたんだと先ほどまでの自分がおかしくてならなかった。 そして、スッと瞳を閉じる。あぁ、この感じだ、沖田は思った。 全てがどうでもよくなれる。殺意だけが不安を消してくれる。ずっと、永遠に、それと共に生きていこうそれだけで良いそう思ってそれでいっぱいになった沖田の心の中にはもう哀しみなんて一欠けらも存在していなかった。 END |
| おともだち 051220 |