土方は全くいやらしい目で沖田を見ていなかった。それだけは先に言っておきたい土方は偉そうに思う。
そりゃあ、沖田の顔の良さは並ではない幼いくせに恐ろしいほど整っていた。綺麗だとは土方だって思ってたそれは認めよう。また偉そうに、土方は思う。
だけど土方は女のあのおうとつのある体が好きだったわけで柔らかな肌が好きだったわけで独特の甘えた声色が好きだったわけで男に、ましてや小さなガキに、発情するような理由なんて全くなかったのに。

始めはちょっとしたいたずら心だった。本当に全く今となってみれば驚くほど沖田のことをそういう対象として見ていなかったのだ。
最近女とうまくいってなくて、もう十数日セックスをしていなくて、飢えていたことを土方は自覚してた。あーヤりてぇ、そんなことを思わずどこででも口走りそうなほど。だって若いんだもの、土方はそう言い訳をする。何か他のことで気を紛らわせようと、思っていたところに土方は沖田を見つけたのだ。沖田は一生懸命素振りをしていた。おぉおぉ、稽古の時間はもう終わったってのに精が出るなぁ土方は思ってだけど沖田が真面目な顔しているのがおかしくて驚かせてやりたくて後ろから抱き締めた。

「そーご」
「わっ」

この時点で、土方は欲情もしていなければ襲う気なんてものも微塵もなかった。ただ、可愛い1番弟子の頑張りようがほほえましくて構いたくなっただけだ。

「もーちょっとやめてくだせぇ」

少し息を乱しながら頬を赤く上気させて沖田が本当にわずらわしそうに言う。稽古の邪魔をされたのだからしょうがないだろう。だけど土方は構わずに沖田を強く抱き締めた。案外やわらかいと思ったのは否定しない。

「なーに頑張っちゃってんだよ総悟〜?素振りとか嫌いだろーがおめぇ」
「すけべの土方さんに教える義理ねぇや」
「誰がすけべだ!」
「んっ、ひゃっ!」
「っ」

すけべ、と言われたのに土方は仕置きとばかりに首を絞めてやろうと首に腕を回したのだけれど指先が首筋に触れた瞬間、沖田が高い声を出した。その声は艶っぽかった。きっと誰だって一瞬ドキとしてしまうような、純粋な少年なら勃起してしまうような、色っぽさがあった。だけどその時だって土方は、全く、本当に全っ然欲情なんてしなかったのだ。淫らな下心なんて皆無だった。ただガキでも感じるんだと興味深げに思う。

「ガキでも感じんのか」
「感じる…?」

知らない無垢な沖田を可愛いと、思った。普通に子供に対する感情だ。ただ土方は子供に対して可愛いなんて思ったことなかったからその点では沖田は特別だったと言えるだろうけど。
もっと感じさせてやりたくなったのは、好奇心からだった。ペロ、と、沖田の首筋を舐める。

「ぎゃっ、ちょ、ひじかたテメェ何すんでィ!!」

相当首が弱いのか、ふるふるっと沖田は震えて高い声を出した。けれどもその後ぶんっ、と拳がとんできて土方はそれを受け止める。あたりはしないこと、沖田だって分かっているはずなのにむきになってもう一方の手でも殴りかかってきた。それもしっかりととめて、悔しそうに自分を見る沖田を見下ろす。

「かわいくねぇなァ、お前」

しみじみ土方が言った。本当に思った、可愛くないって。やっぱガキはだめだなぁ反応がよくねぇよもっとこう、アン、とかさァ高い声で言って表情だってもっと、なんてーの?しとやかに色っぽく、なんてコイツには無理だよなぁ、思いながら拘束した腕2つをそのままにカプと首筋に噛み付くように唇をくっつけた。

「あっ、アンッ」

あぁ、そうそうそんな感じでえ、何思ってんの俺。ふるふると頭を振る。首筋に唇をあてたままそうしたのでまた沖田がひくんっと震えて甘い吐息を口から出した。それが耳にふっかかって土方も思わず頭がひくっと揺れる。何故だかやったな、なんて気になって土方はかがんでただけの姿勢だったのをやめしゃがみこむと首筋に歯をきつくたてた。そうして歯の間から舌を出してべろ、と、唾液をたっぷりつけて舐めてやる。

「ひっ、ひゃ、やァ…!」

ぎゅう、と沖田が髪の毛を引っつかんできた。付き合ってる女の1人も、そうするのが癖でよくされてて土方はそれを思い出す。チラと上を見てみたら沖田が気持ち良さそうな顔をしていてもっとそんな顔をさせたくなった。だって沖田はいつも無表情ですました顔しか土方は見たことがなかったのだ。どんな反応をするか見てみたくてつい、手が下の方にのびた。

「う、ッ〜〜〜っ、にすんでィ!!」

きゅう、と、やわらかくそこを握ると沖田は一瞬だけ快楽に満ちた表情をしてだけれどその後どこをさわられているかに気付いたのか顔を赤くさせて叫んだ。体を引く沖田の腰を掴みぐいと自分の方へ寄らせる。

「や、ヤァ!やめろィ!」

沖田が暴れ始めて、土方は舌打ちをした。ぽかぽかといくつか頭をぐーで叩かれてむっとする。その手を両方ひっつかんで片方の手で一まとめにしてしまった。そして開いた手でガバっと稽古着の合わせを開いて胸を露にする。

「わっ、ちょ、!」

男同士なので気にした風はなかったけれど沖田は吃驚したように瞳を大きくさせた。土方は下でペニスをもみながら唇を寒さからかたちつつある乳首へとやる。はむ、と、唇ではさんだ。

「ひゃ、ぁっああァ、う、う〜〜っ」

舌をはやくれろれろと動かしてやると沖田の背がいくどもしなった。ペニスの方も袴の上から触れていたのをやめて隙間に手をもぐりこませて直接触れる。一本指が触れただけでやぁあ、と沖田がまるで襲われてでもいるかのような、声を出した。
と、土方はふと思う。

「(襲われてって…)」

あれ?土方はやっと気付いた。

「(えっ、うっそこれってっ…)」

これってこれって、どう考えたって、襲ってんじゃねぇか!?、と。
気付いた瞬間にがばっと、沖田を自分から離してだけどその離した沖田を見てうっわと土方は思った。

「(えぇええうぉおい!)」

今まで自分は何を見ていたんだと、思った。上半身はだけさせて頬をピンクに上気させて、瞳を潤ませ眉を寄せ唇うすく開いて震えている沖田は。土方が今まで見てきたどの女よりも、土方のペニスを早急にエレクトさせた。
いつの間にか、土方は夢中になって沖田を気持ち良くさせたいなんて思ってしまっていたのに気付く。
面白がって気持ちよくさせたいと思っていただけなのか、気付かない内に総悟の色香に惑わされてたのか、いやいや違う俺は総悟がどんな反応するのか見たくてやってたんだって、え、じゃあその総悟の反応が見たかったのは何故だ、純粋な面白いもの見たさ?それとも。

「わ、わり、総悟!」

それ以上は考えたくなくて、土方はひとことだけそう言うとダッと逃げた。ありえない!土方は思う。こんなつもりはほんの少しさえもなかったのに!土方は思う。



後に残された沖田ははぁ、と小さく溜息を吐いた。

「、…ここまでやっといて逃げますかィ、普通」

くしゃり、と髪をかきあげて小さくなっていく土方を見る。

「あの人、底なしの馬鹿でィ」

自分の気持ちも分からないなんて。あーあ、沖田は呆れたようにつぶやきながら何事もなかったかのように乱れた服を直した。


END

  望の影 060115