庭に出てみたのも何か悪い予感がしたからかもしれない。
ドガッ、バキッ、なまなましく肌を殴る音が聞こえてきてそれに沖田はピンッとひっかかるものを感じた。音のする方へ急ぐ。予想通りそこは惨劇になっていた。土方が馬乗りになって山崎をボコっている。だけど沖田は普通の反応であろう仲裁に入るとか引くとか見てみなかったふりするとかそういうことはしなかった。ただ、頭に血がのぼった。

「ちょっと土方さん!!」

沖田の怒った声が土方の手を止める。だけどたて続けに殴られていた山崎が止んだ痛みにほぅっと安堵の息を吐いた瞬間それが気に障った土方のストレートパンチがまた山崎の顔面に炸裂した。ぐっふぅ、唸る山崎のその声が沖田の怒りを刺激する。ちょいと!また沖田が怒鳴った。

「あんた何してんでぃ!!」
「は?」

土方は何に怒っているのか分からなくて首をかしげる。だけど手をしっしっと払うようにされたのでとりあえず、山崎の上からのいた。沖田はハァア、と大きく溜息を吐いてからあのねぃ、と話始める。

「あんたが人殴るってことはねぃ、これ、セックスしてんのと同じことだと、思いやせんか!」
「えええ!?」
「あんた今青姦してるってことですぜぃ」
「え、あ、え、えぇ、…すいません」

何わけ分かんないこと言ってるのこの子?土方は思ったけれどどうもマジギレされていらっしゃるようで控えめにあやまってしまった。沖田はまだ納得いかないようだったけれど怒りはおさまったのか次は穏やかな口調で、だけどとんでもないことを、言う。

「おれのことも殴ってくだせぇ」
「マジでェエエ!?なんで!?」
「なんでじゃねぇ、殴れよ」

そう言って瞳閉じてずい、と顔を突き出してきた。言葉のとおり殴ってくださいとばかりに左頬を土方の方に向けて。おいおい山崎引いてるぞってか俺に引いてる!?山崎の冷えた視線が自分の方に向けられていて土方は焦る。いや違うから、こういうプレイとかはしてないから、たまにだけだけど。
土方が躊躇っていると沖田が早くと、催促をした。いやいやマジでむりだってと土方は思う。沖田の顔なんて、欲情している時じゃないと殴れやしないのだ。ぶっちゃけとんでもないことだった。年中無休でサドなわけじゃない。

「え、むり…」

何故かうかがうように言ってしまった。土方がそう言ったとたん、沖田の瞳がひらいた。そして土方の方をぎろりと睨んだかと思えば火がついたように怒り出す。

「むりじゃねぇよ!なんで無理なんでぃ!!山崎とはセックスできるけど俺とはできねぇってこと!?」
「いやいや話ねじまげてない!?なんかねじまげてむりやりつなげちゃってない!?」

ここまできて、沖田の言いたいことが土方にもちょっとずつ分かってきた。つまり沖田は殴ることが土方の愛情表現の一つだと思っていて(そこには土方はとても大きく責任を感じている)「殴る」という行為もキスや愛撫をするのと同じ部類に入るのだろう。性的な、行為だと、沖田は思っているのだ。どうしてこんな風に育っちまったのかな、原因の9割は自分にあるくせに土方は頭痛がして頭をおさえた。

「言っとくけどなぁ、俺は山崎殴るのにそういう感じ全っ然もってねぇからな。こいつにいだくのはイラつきだけです」
「ええええひっでェエエ!」

山崎が叫んだものだからうるさくって土方はまた殴ろうと腕を上げるだけどそうした途端沖田が後ろからものすごい睨みを利かせてきた。ゆっくりそろそろとその腕を下ろす。

「おいコラ土方てめぇ言ってるそばからまたチンコいれる気かコラ」
「いやいやだからそれは話が違うだろ!?とても無理やりだと俺は思うわけです。幼稚園児に5ケタの掛け算やらせようってくらい無理や」
「うるっせェエエ!土方さんが殴れねぇなら俺が殴ってやりまさァ!!」

言ったかと思ったらすぐに沖田の腰が入ったパンチが土方の横っ面にヒットする。なーにしやがんだこのクソガキ!思ったけれどまぁ自分が沖田を殴るよりましかななんて思ってしまって、次にきた踵落としも土方は避けずに甘んじたのだった。



END

沖田君はセックスと暴力の違いが分からないの暴力もセックスの1つだと思ってんの
不憫な子…!!
 

  ぼぼこ 060205