「うっ…」

顔を歪めたと思えば一気だった。

「わぁああああんっ!!!」

宥めるより先にあまりのうるささに思わず耳を塞いでしまった。るっせぇなぁ、小さく呟くように言ったのに聞こえていたのか沖田はぴたりと泣くのをやめて、土方の方をじとりと見る。なんだよ、土方がバツの悪さを隠して見下ろすとすぐに沖田はまたじわりと瞳に涙を溜めさせた。

「もおお、やだァ!!ばかー!ひじかたのバカヤローー!!!」
「ちょ、もう大声だすなってコラ!きこえっだイッ!」

そしてまた屯所中どころかご近所中に響き渡るのではないかというくらいの大声張り上げて叫ぶ沖田の口を土方は慌ててふさぐ。だけどその指をカプと噛まれてしまった。むかっときて反射的に手がでた。ばちこーんっとこめかみの辺りを思いっきり叩いてしまう。あぁ、この手の早さ、やっぱりどうにかなおしておくんだったせめて沖田相手の時だけでも。たたみにぶっとんでそれでも泣き止まずにわんわん大声だす沖田を見ながら思う。

「あ、いや、あ、…わり」

沖田は体を丸めてひくひくと泣いていた。ぐずぐず泣き喚く姿は本当に子供だ。幼稚園児並だ。イイ年した男が人前で泣き叫ぶんじゃねぇ!そう叱ってやったって良いはずなのだけれどどうもそういう気になれない。なだめるの、面倒くさいと思うのだけれど放っておく気にもなれない。だからといってやはりなだめようと思う気もおきない。だって沖田は大声で泣きながら暴れていて手がつけられなかった。いくら沖田の扱いに慣れている土方でもこの状態を改善できる自信はなかった。

「ひっでェエもう、もーーう、やだ!もうやだ!」
「うん、分かった、俺が悪かった、俺が悪かったから」

とりあえず沖田の手足が届かない場所から声をかけてみた。だけど沖田の泣き声にかき消されてしまう。しかしこれ以上近寄りたくはない、殴られたり蹴られたりするのはごめんだった。

「……」

ふぇえん、うぇえん、よくまぁ枯れないなぁというくらいの大声で泣き叫びながらごろごろ転がり手足ばたばたさせる沖田を土方は上から見下ろす。どうせ何言ったって聞こえやしないだろうしどう考えたって今の沖田を泣き止ませる方法はないだろうと思う。あぁあ、面倒くせぇ、土方は思って眉間に皺よせながらがしがしと頭をかく。

「(まぁ、いいか)」

しかしすぐにあきらめがついた。幸いここは沖田の部屋だ。土方は忍び足でドアまで近寄ると沖田の目がこちらに向いてない内にサッと部屋を出る。可哀想かもしれないけれどこういう時は放っておくのが1番だ。明日は少し優しくしてやろう、ふわぁと欠伸をしながら思って土方は自分の部屋へと向かった。


END

沖田も時々爆発します
でも放って置かれます 

  きわめく 060316