「こっちこい」
「やっ、ちょ!」

ぐい、と腕を掴まれたらもうおしまいだ。隊士達は日常茶飯事である光景、土方に引きづられるようにして連れて行かれる沖田の様子を見ながら思う。後は引きづられて部屋まで連れてかれてそこからどうなるかは隊士達の知るところではない、けれどもその後の沖田の様子を見れば良いことされてるんじゃないことくらいは分かる。


だんっと床に叩きつけられるように放られてあんまりにも乱暴な扱いに腹が立った。物か何かと勘違いしてるんじゃないかって、ちゃんと俺にだって痛覚あって痛み感じるんだけどって。だけれど沖田は文句の言葉は1つも言わなかった。さすがにあまりかしこくない沖田にだって今この場面で文句を言うことがどういう事に繋がるか分からないことはない。
土方はすぐに、怒る。沖田からしてみれば因縁つけてるとしか思えないような理由で怒る、殴る、蹴る、犯す。一応「仕事の不始末に対する仕置き」という名目をつけているらしいそういうのを盾にされると責任というものを重く持っている沖田はどんなことだって黙って受け入れざるを得なくなるのだ。

「お前ってほんっと学習能力ないな」
「…」
「何度痛い目見れば気がすむんだ?」
「…」

座ってる沖田と立っている土方。自然土方は見下ろす形になって威圧感が増す。黙っていたら蹴っ飛ばされた。聞いてるのか?何を言おうか沖田は迷う。だって、言い訳をするか、すいやせん、素直に謝るか、何度でも、なんて悪態を吐くか。けれど何を言ったって土方の怒りを静められるとは思えないしそれどころか何を言っても煽ってしまいそうだと思うだけれどこのまま黙っていてもそれは同じだと、沖田は予測をする。自分がどうしたって何をしたって土方は気に入らないのだ。
沖田が何の反応も示さないでいると土方が沖田に覆いかぶさってきた。びくっと見て分かるほどに沖田の肩がはねる。その肩を押されて畳に押し付けられた。ぐいっと勢いをつけて乱暴に。頭がゴツッと音を立てて畳にヒットした、痛い。頭だけじゃない肩も背中も腰も上半身全部痛い。

「ひじかたさん…」

鋭く自分を見下ろす土方が怖くって思わず縋るように言ってしまった。きゅっと、土方の二の腕辺りの服を掴みながら。土方は、沖田の反応が珍しかったからか一瞬僅かにだけびっくりしたような顔をして沖田を見たけれど、その後すぐにその顔に歪んだ笑み浮かべてハンッと鼻で笑った。何甘えた声だしてんだ、ギュウと耳強くひっぱられた上耳元で低く言われて痛さと気持ち良さを感じる。こんな扱い慣れっこだけれど土方さんと普通のセックスしたの何ヶ月前だろ、ぼんやりと思ったら今の状況がすごくすごく耐え切れないように思えてきた。

「やだ」

かちゃかちゃとベルト外されて沖田は何をされるのか悟る。思った通り、それで手首縛られそうになってそれが嫌でやだ、もう一度小さな声でそう言ったらぎろりと睨まれた。一瞬、間があって、沖田があ、やめてくれるのかな、僅かに期待した瞬間ぎゅうう、と手荒く、きつく、手首を縛られてしまう。

「いっ、…」

締め付けがきつくて何にもしなくてもとても痛い。ほんの僅かにでも動かしたら激痛がした。

「ちょ、土方さんっ…」

焦る声は無視された。いやいや、首を横に振る。それが鬱陶しかったのかガッとでこを床に押し付けられて動きを止められた。ひっ、と喉が鳴る。

「う、…」

凄い力で押さえつけられていて、痛い。眉顰めて泣きそうな顔をしながら沖田は思った。やっぱり何かする度に痛いことされるだけ、何にも反応返さない方が楽なんだ、なんて悟ったように。もうどんな事だってすればいいやィ、開き直って力抜いた。そうしたらちょっと痛みも軽くなったような気がして、あぁこれでいいんだなんて、沖田は思った。


END

ついに悟りの境地に到達しちゃった(…) 

  バー・ギブアップ 060407