山崎ィイイイイ!!!!

庭歩いていたら自分を呼ぶ大きな声がどこからともなく聞こえて山崎はビクッと体をはねさせた。沖田の声、それは分かった。だけどどこにいるのか分からない。きょろきょろ辺りを見回したのだけど誰もいないのだ。あれ空耳?首ひねらせてまぁいっか、その場去ろうとしたらまた聞こえた山崎ィイイイイイイ!!今度はちょっと長めだった。改めてじっくりゆっくり辺りを見てみたけれどやっぱり誰もいない。ちょっと怖いって、山崎は思うだけどまた聞こえてきてそれがどうもあっちの方から聞こえてきているような気がしないでもないこともなかった。あっちというのは倉庫の方である。倉庫に近づいてみたらまた声が聞こえて今度こそ倉庫の中から聞こえてきていると山崎は確信した。

「お、おきたさーん?」

言いながら扉開けようとしたけれど鍵がかかっている。ここ開けろ!早く!!中からキレかけの声が聞こえてきて山崎は焦った。倉庫の鍵ってどこにあったっけ、考えて、大分遠くにあることを思いつく。持ってくる暇なんてないって、山崎は思った。だってすぐ開けろって沖田が言っているのだ。仕方ない、山崎は扉に手をやるとすぅと息を吸う、吐く、吸う、吐く。ゆっくりと深呼吸をくり返すとカッと目を見開いた。そして全ての力を出し切って扉を一気に引く。ガラガラッと低い音たてて扉がスライドされた。うぉっしゃァア開いたァア!!無駄に高かったテンションは中にいた沖田の姿を見て一気に下がる。

「えっ、…えーー!!」

中では、沖田が縄で手首と足を縛られていたのだ。

「(真選組屯所内で1番隊隊長沖田総悟監禁事件発生ーーー!!?)」

あわあわあわわ、古典的な動揺をしながら山崎はだけれど縛られている沖田を見てどこかドキっとしたのを感じていた。

「ちょっとコレはずして!」
「沖田さん!!誰にされたんですか!!」
「土方のクソヤローでェ」
「ひっ…、ひじか、…副長…?」

無駄に焦っていた山崎は土方の名前が出てきてなんだぁ、と、ホッとした。土方がやったのにしても大分と問題はあるけれども事件性はない。

「ほら、早くとって」
「え、でも…、」
「なんでェ」
「勝手にとったら副長に叱られます…」
「何オメェ土方に叱られんのと今俺にぶん殴られるのとどっちがいいんでィ」
「…沖田さん、今の状態じゃぶん殴れないでしょう…」

言ったらていっ、コノヤロー叫びながら無駄に高い運動神経駆使して縛られたまま器用に蹴りをいれられた。だけど、だけどって、山崎は思った。考えついてしまった。今の沖田さんなら、って。今の沖田さんになら、何でもできてしまうって。

「いーから早くとれって」
「だって…沖田さんが何かしたんでしょ」
「ちょっと待てお前。何かしたからってさ、縛るとかありえなくねぇ?アイツのサドさにはもううんざりでェ…おめぇもさァ、いっつもボコられてて可哀想だよなぁ、だからホラはずせ」
「話あんまり繋がってないですね」

ふぅっと溜息吐くと仕方ないな〜、しゃがんで沖田の後ろに回り沖田の手首と足首に絡まっている縄に手をかけた。解いてあげようとしてだけどそれはかなり強く結ばれてい絡まった糸を解くのが得意とショボイ自信を持っている山崎のプライドが少し崩れる。

「ちょっと山崎、痛ぇよ…早くしろ」
「だってこれ固すぎですよ!」

またも全力を尽くして格闘してやっと解けてくれた。

「あーーっちくしょ、いってェ…」

沖田は顔顰めながら手首をさすっている。手首には痕がくっきりと赤く残っていた。それを見てまたドキッと、したのを山崎は感じた。

「あのさァ、なんで土方さんってあんな偉そうなんだと思う?」
「え、…えー…、えらいからじゃないですか…?」
「ハッ!」

思い切り見下されて嘲笑された。お前に聞いたのが間違いだったよ、沖田は小さく首を振りながら明らかに馬鹿にしたように言った。なんですか、さっきまで縛られて身動きとれずにいたくせにって、俺がほどいてあげなかったら今だってそれはそれは無様な姿を晒していたくせにって、やっぱり山崎は縄解いてやったのを後悔していた。


END

沖田にかかれば山崎もS
なんてね 

  きぐも 060825