私服で1人で歩いていると絶対に声をかけてくる馬鹿な男がいる。そいつらをどう扱うかはその日の沖田の気分次第だった。今日の奴らはラッキーだぜィ、沖田はにっこり愛らしく笑った。ねェ、聞いてる?ちょっとだけでいいからさぁ〜、言いながら白い手をぎゅうといやらしく握られたその瞬間、沖田はドガッと爽快な音を立てて、だけれど十分に手加減した右ストレートを顔面にお見舞いしてやった。男はぶっ飛んだけれど沖田のナイス手加減のおかげで気を失ってはいない。すぐ立ち上がって沖田の襟首を引っ掴んできた。まだまだ元気ならしい。そのまんま、人通りの少ない路地裏に連れてこられたかと思ったら腹に一発いれられた。イイ蹴りしてんじゃん、期待以上。沖田がにやりと笑った。それをバカにされてると思ったのか今度は顔に踵おとしを決められる。意識がぶっとびそうなほどの衝撃が襲った。一瞬記憶がなくなって、次に意識がはっきりした時には激痛が全身を支配していた。頭に手ぇやったらぬるりと血の感触がしてゾクっとする。いつだってこの瞬間が大好きだった。思わず身震いするほどの快楽が得られるのはこの瞬間だけだ。






「おい、犯しちまおうぜ」

沖田に暴力ふるって興奮してきたのか、息を荒くさせて男が言った。髪引っ掴まれて眉を寄せてる間に男がチャックを開けて自身を取り出してきた。腕と足を4人がかりで押さえつけられて僅かな抵抗すらできない。もちろん抵抗する気なんて、沖田にはないのだけれど。早急にペニスがあてがわれて沖田は瞳を細くした。

「あっ、…」

挿入ってくる瞬間、体中が快楽に包まれる。くらむほどの快感に。男達の気が済むまで殴られて蹴られた傷だらけの体は感度が最高に良かった。傷に触れられるだけでゾクゾクっと快楽が背をかけぬける。あんまりにも気持ち良くって、体が自分の意思でどうすることもできない力が入らない。指1本動かすのすら今の沖田には無理なことだった。みっともなく唾液を口のはしからたらして、時々ビクビクッと体を震わせる。ぶん殴られて無理に突っ込まれてよがってる沖田は傍目から見て異常に見えたのだろう。存分に犯すと男達はラリってるぜコイツ、そのラリってるヤツに勃起して散々犯しておいてそんな捨て台詞捨てて去っていった。












根っからのマゾだなって、根っからのサドのはずなのに引く時がある。
土方の嫌な予感はいつだって当たる。沖田が夜遅くに帰ってくることなんてそんなに少ないわけではない、土方はいつも起きている訳じゃない。寧ろいつもなら寝ている別に待つなんて事はしない。だけど沖田がそれをされる日の夜、土方はどうしても寝られない。つまり寝れない日は沖田が傷だらけで帰ってくる日なのだ。今日も思わず眉を寄せるほど傷いっぱいつけて沖田は帰ってきた。

「…骨は、折れてないか。打撲は?」
「だいじょーぶでさァ」

ぼこぼこにぶん殴られてぼろぼろのくせに、沖田はどこか嬉しそうなのだ。それが気味悪くて土方はゾッとする。
初めてぼこぼこにぶん殴られて帰ってきた日はそれはそれは心配してマジギレしてお礼参り行ってやるってだから誰にやられたのか言えって、土方は詰め寄ったのだけれど沖田は何にも言わなかった。何があったのかちゃんと言うまで責め苦に合わせてやろうかとも思ったけどぼろぼろになった沖田にそんなことできなくて(流石に良心というものがとがめる)、だけどそんなことが何度も何度もあって、10回、それくらいまでは土方も毎回追求をしていた。何があったのか、どうしてそうなったのか、だけどやっぱり沖田は何も言わなかった。しかし土方だってバカじゃない。ちょっとずつ、ちょっとずつ分かっていってしまった。

「(アイツ本当に、ばかじゃねぇの)」

歩くのさえだるそうに遠ざかっていく後ろ姿を見ながら、土方は思う。バカの中のバカの中のバカの中のバカ、の中のバカの…エンドレス。どれだけバカなら気が済むんだ。
あぁだけど、土方は思う。土方は、自分が沖田のことを可愛いと思うのは顔だけのせいだと思っていた。どんだけ褒め言葉の羅列並べたってきっと誰も批判しないほど沖田はお綺麗な顔していらっしゃる。だけど今、沖田の顔はお世辞にだって綺麗だとは言いがたい。ぼこぼこにぶん殴られて綺麗なツラの原型すらない。だけどたまらなく愛しく思えるのは、どうしてだろうか。
それが分かってしまったら、きっと自分もバカになってしまうから。土方は考えないように考えないようにそう思った。


END

 

  つしるし 060901