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そりゃ沖田だってすんなり認めてもらえるとは思っていなかった。 何にしたってまず容姿が悪い。それだけのせいにするつもりは勿論ないけれどもいつだってまず容姿のせいでナメられる。その他、ナメられる要因が沖田にはいくらだってあった年齢だってとびぬけて下だし声も低い方ではないしでぽけっとしていると全く迫力がない。どれにだって自覚はある。 真選組が設立され局長に近藤勲、副長に土方十四郎、それに続いて1番隊の隊長を沖田は命じられた。若干16歳にして幹部の仲間入りだ。沖田は、何だってやるつもりだった。嫌味だって聞き流す術を覚えたし上司のセクハラにだって冷静に対応できるようになった人を殺すのだって、もう躊躇いなくできる。だけれどこれから命をかけて共に戦うことになるだろう同士と仲違いになるのはどうもすっきりとしない。あぁこういう考えって近藤さん譲りだ、ふと沖田は思う。 1番隊の隊士は募ってきた猛者達の仲でも際立って腕っぷしも経歴も良い選りすぐられたエリート揃いで、沖田の下につくのが嫌なようだった。だからってあからさまに命令に逆らうようなことや態度にだすようなことはなかったけれど。まあね、と、沖田は考える。こーんなベビーフェイスの細っこい優男の言いなりになるのなんてそらまぁ、いやだろうななんて。別に言うこと聞けなんて無理強いする気なんて微塵もなかった。しかし。 「アァ?もっぺん言ってみろよ」 売られた喧嘩買わないほど落ちぶれてはいない。ガァンッ、思いっきり壁ぶん殴ってみた。思いの他音が響いて沖田を囲んでた隊士がみなたじろぐ。脅しのつけ方は土方仕込みだ、迫力も目つきの悪さも土方譲り、並みの男じゃ太刀打ちできまい。思いっきりガンつけて眉寄せながらアァ?と凄む。これじゃチンピラだ。だけど沖田は相当キレていてそんなことに気が回らなかった。 「これだから下品な芋道場出の奴は…」 「ざけんな!」 ゴッ、と、刀でそいつをぶん殴った。鞘から出さなかった理性があっただけ感謝しろィ、ぶっ倒れるソイツを見ながら沖田は心の中で言う。それを機に次々に隊士達が沖田に襲いかかってきた。抜刀してくる奴もいる。もちろん沖田は抜刀なんて馬鹿なことはしないする必要もない。みなある程度以上の技術はあるようだったけれど何人同時にかかってこようが沖田の相手にはならなかった。 「何やってんだテメェら!!」 だけれど派手な乱闘騒ぎはすぐに副長の耳に入ったらしく即土方の怒声によって終わることになった。沖田は声が聞こえた瞬間ピタリと止まった。他の奴らもビビって動けないでいるようだった。土方が、近づいてくる。沖田は不服そうな顔をしていた。 「沖田!!何があったか言ってみろ!」 「…」 呼ばれて、沖田は口篭る。黙ってたら腕を掴まれてひっぱりだされた。すごく怒っている、沖田は気付いた。だって腕を掴む力がすごい。痛い。 「俺が…先に手ェだしたんでィ」 「ンな事聞いてねンだよ何があったか聞いてンだ」 「…ちょっと、むかついたから、殴っただけです」 「…分かった。歯ァ食いしばれ」 言われた通り、沖田は歯をくいしばった。瞬間、ぱあんっと高い大きな音がなって左頬に激痛が走った。いいいったああ、沖田は思ったけれど何でもないような顔をしておいた。 「こっちこい」 つったってたらまた腕ひっぱって沖田は土方につれられてその場から離される。残された隊士達は土方の迫力に何も言えずただ暫くつったってることしかできなかった。 隊士達が見えなくなるほど歩いて、それから、先に口を開いたのは土方だった。 「喧嘩の理由はなンだよ」 「…」 「言え。命令だ」 沖田は嫌そうな顔をしている。だけれど土方は知っていた。沖田が1番隊の連中に好かれてないこともだけど沖田は沖田なりにこのままじゃやだって思ってることも。そんな沖田が何の理由もなしに喧嘩ふっかける訳がない。 黙ったまま睨んでいたら沖田はしぶしぶと言った感じで口を開いた。 「おれが、…こんどーさんの寝床にいって1番隊隊長の座をえたって…」 「っ、ばああか!そんなん気にしてんじゃねーよ!」 「だって!近藤さん、そんな事で隊長を決めたりしねェ!あいつらそれ分かってねーってコトじゃん、最低!」 あ、そっちなの。まあとりあえず、土方はふぅうと煙吐き出しながら思った。 「(あいつら後でボコらねぇと)」 END |
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ドライ 愛 070602 |