がさがさと大きな物音が聞こえてきて、後ろ振り向いたら両腕に大きな紙袋を持った沖田が歩いていた。その中にはお菓子がめいっぱいつまっている。土方は何か言おうか、言うとしたら何を言おうか少しだけ考えてからとりあえず叩くことにした。

「いったーーい!なんですかィいきなり!」
「その大量のお菓子をどうする気なんですか」
「食うに決まってんでしょ。馬鹿?他に何するんですかィ。埋めるのか?埋めるのか?」
「馬鹿はテメェだろ。何金の無駄遣いしてんだよ馬鹿じゃねーの」
「これは旦那にもらったんだもーん」
「…は?」
「パチンコで当てたんだって。もらっちゃったー」
「…」

嬉しそうに滅多に見せないにっこり顔見せてくれちゃって土方は何だか急に焦ってしまった。あのやろぉお何餌付けしようとしてんだよぉお腹立つやっちゃなぁあああ、土方は一ミリたりとも表情を変えはしなかったけれども内心腸煮えくりまくっていた。

「アイツからは物貰っちゃいけません」
「なんで?」
「…賞味期限切れてそうだから」
「アンタ超失礼」
「見返りに何か要求されそうだから」
「…なんでそういうこという?」

沖田は呆れたように言ってこれみよがしに溜息吐いてきた。じゃあね、って沖田がその場去ろうとしたら偶然にもそこに銀時が現れた。

「あっ、旦那ぁっ」

最後の「ぁ」は何!?土方は突っ込みたかった。何か声が1オクターブ高いような気がするのは気のせいですか!?土方は、突っ込みたかった。ってゆーかなんでタイミング良く銀時が現れるの!?土方は、突っ込みたかった。そしてひらひらと手ぇ振って少しだけ笑う銀時を今すぐにでも殴りたかった。

「お菓子ありがとうごぜえやす。あのね、土方さんってば頭オカシイんですぜェ」
「アレッ、沖田君、長い間一緒にいて今気付いたの?」
「いやぁこれ程とは…」
「そっか…可哀想に…。騙されてたんだね…」
「オイてめぇらそういうやりとりはせめて本人のいないところでやれよ」
「なんか雑音が聞こえる」
「春だからね…虫がね、冬眠から覚めてきたんだよ」
「なんでそんないじめんの?なんでそんな俺の事嫌いなの?っつーかテメェうちの総悟に気安く食べ物与えないでもらえます?摂取カロリー考えて朝昼晩と食べさせてるんで」
「土方さん…きもいです」
「きもいです」
「総悟…菓子ばっか食ってると背が伸びないぞ」
「…」
「ハァア?何を根拠に?俺なんて3食うめぇ棒とチョコレートだけの日々が1年続いた時があったけどお前と一緒の身長ですけどお?」
「オイ!そういうこと言うのやめてくんない!?総悟が真似するだろうが!」

そこで耐え切れなくなって土方が手を出してきた。渾身の右ストレートをひょいと避けるとうるせぇんだよテメェそーゆートコが重いって思われてる事気付けコノヤロォオっつって銀時がローキックを入れる。それを腕で受けとめてアッパー、これはモロにくらったらしくぐふぅっと血を吐きつつも腹に頭突きかましてきやがった。避けようがなくくらってそこからはココはリングですかって、四角いジャングルですかって、ツッコミたくなるような程の激しい殴り合いし始めた。

「ちょっとぉ…街中で…やめてくだせぇよ」

沖田は顔を顰めて、止めに入ろうかと思ったけれどあ、お菓子持ってるんだったこりゃ無理だなって思ってやめておいた。止めなければいつまでも続きそうだったので付き合ってらんねーやって帰ることにする。沖田はふわーあ、って欠伸しながら、あいつらなんかうざいなぁって思った。




END

2人の愛は空回り 

ーズレスラブ 080331