足音が聞こえてきて、耳をすませてみる。その足音が近づいてくると沖田は持っていたぬいぐるみ放り投げてぱたぱたと玄関まで行った。留守中に訪問してくるのは新聞屋の勧誘とか宗教の誘いとか学研のおばちゃんとか知らないおじちゃんとかイロイロ。全部沖田はシカトするけれど、唯一シカトしないのは、お菓子をくれる3軒となりに住んでいるコンビニ勤めしてるおにいちゃんと、あとは、

「土方さん!」

思いっきりな笑顔してしまったあとでしまったあ!と沖田は思った。慌ててむすっとした顔を作る。そしてぷいっと顔をそむけてお決まりの一言。

「なんでェ!またきたの。鬱陶しいんだよばーか」
「はいはい」

土方はおざなりに返事をして家の中に入る。
沖田はこの広い家に1人きりで、毎日を過ごしている。唯一の身内であり最愛の姉は毎晩遅くまでお仕事だ。土方は毎日はこられないけれど時々顔を出してやっていた。ばーかばーかしねよって言ってくる割には来てやるとうれしそうな顔してみせるのが可愛らしくて、いとしかった。

「おら、これ姉上がアンタが来たら一緒に食えって」
「おー、悪ィな」

ぱくぱくとご飯食べる土方をちろりと見ながら沖田は土方にばれないようににっこり笑った。誰にも内緒だけれど沖田は土方がだいすきだった。だってわくわくする!一緒に遊んでくれるし何しても怒らないし楽しいことしてくれる。背だって大きいしガタイもいいし剣道も上手いし顔だってカッコイイ!憧れでもあった。一緒におさんぽする時なんて自慢ですらあった。ほらみてみて!って。
ぜーーーったい土方なんかには教えてやらないし、態度にも出さないけれど!





一緒に遊んだりごろごろしたり剣道したりしてたらあっという間に日が暮れてきた。

「そろそろ帰るか」

ちらりと時計を見た後土方がそう言った瞬間沖田の瞳が悲しげに揺れた。今までの楽しそうな顔との差が激しくて土方はすごくすごく悪いことを言った気になった。

「またすぐくるから、な」
「もう一生こないでいいでさぁ…」

いつもの憎まれ口にも元気がない。土方は苦笑してじゃあな、って言って立ち上がると玄関に向かう。沖田はとたとたとゆっくりついてきた。靴を履いてドアをがらがらと開けて出ようとするとそばにきた沖田がきゅうと服の裾を掴んだ。はだしだった。

「今度はいつくるの?」

さっき一生くんなつったじゃーんと言うなんて空気読まないこと土方は言わなかったってゆーか言えませんでした。あんまりにもさみしそうな顔をしていたから。けなげだと思った。

「また明日くる」
「本当!?」

本当言うと言った後しまったーって思った。だって明日は女と遊ぶ約束が…って思ったのだけれど沖田があんまりにもうれしそうな顔をするから否定しなかった。そうだよな、アイツは俺以外にも遊ぶ人いるけれどコイツは俺以外いないんだから、って、思った。なんかそんなことに優越感覚えたりしている自分がいる。あほだなって思うけれどそう思うのだからしょうがない。





土方も沖田も長い間気がつきませんでした。
それが愛ってことに!







END

 

羅武勇 0801104