女のように優しく大事に抱いて欲しい訳ではないし慣れた身体は乱暴に扱われても感じられるから別に良いのだけれど。不貞腐れたようにそう思った途端鋭い痛みが走り沖田は顔を顰めた。

「いってエなァ。もっと丁寧に扱ってもバチ当たりませんぜぇー…」

何でもないかのようにそう言ってけれども憎まれ口を叩けるのも今のうち、だけ。それは何よりいつも痛めつけられている身体が一番よく知っていた。可愛げの無い口をきけばきくだけ後々後悔するのは自分なのだけれどつい出てしまうものは止められない。ぷいと横を向けばギュ、とペニスを強く掴まれ眉を寄せる事になった。

「(それでもやっぱり一度くらい優しく抱いてくれたって、)」

チラ、と土方を横目で見ながら沖田は心の中で思う。

「(いいとおもうんだけどなァ…)」

幼い時からの強い願望は決して今まで声に出した事はなく今日も心の中で小さく呟いただけだった。声には、出せない。出せば鼻で笑われて、虚しくなるだけだ。
不意に沖田は一度だけ、土方が女とセックスをしていたのを見てしまった時の事を思い出した。土方におよそ普通のセックスではしない事をノーマルセックスだと教え込まれていた沖田は見て吃驚したのを覚えている。
土方の優しい手つきや甘いキス、あくまでも相手を気遣う腰使いが、目に焼きついて忘れられない。自分相手の時は自分の欲望だけを貪りまるで性欲処理の人形のように自分を扱うのに。あまりにもある自分の時との差に驚いて、絶望して、抉るように胸を傷つけられたのも覚えていた。


「ハッ!、あァッ、く…ウ」

ぐに、と強くペニスを引っかかれ沖田は鋭い痛みにぼんやりと過去へやっていた思考を現実に引き戻された。そのまま爪を立てられてう、と呻いて痛みを発散させる。痛みに瞳を閉じる前に垣間見えた土方の表情は無表情で何を考えているのか沖田にはちっとも分からなくて。

「(少しくらい表情に出せよ気持ち良いですって顔してみろよ眉寄せて呻いてみろよ)」

心の中で呟いた後ゆっくりと開いた瞳はとても素直で。気丈にも土方を睨みつけていた。睨む沖田が気に入らなかったのかほんの少し眉を顰める土方に無表情を崩してやったと、そう思った途端パンッと高い音がして頬が焼き付くように熱くなった。

「ぃ、って…」

思わず頬にやろうとした手を掴まれて、頭上に押さえつけられる。何もしていないもう片方の手も頭上に持っていかされて一括りにされた。文句を言おうと口を開く前に、膝でペニスを思いっきり潰される。

「アア、ウ、っ…」

潰されたまま膝をぐりぐりと上下に動かされて沖田はビクッビクッと激痛に身体を震わした。口からはひっきり無しに悲鳴がついてでる。それがあんまりにも情けなくて唇を噛んで我慢しようとするが唇の隙間から悲鳴は出てしまう。


さきほども書いたが感じない訳じゃ、ない。現に今だって激痛を感じながらペニスは硬くなりつつある。
叩かれて抓られて爪を立てられて、ペニスが勃つのはもう何年前からか。寧ろ優しく扱われて勃起するのか不安なくらいだけれども、身体じゃ、ない。 心が埋められない。土方に叩かれるたび、抓られるたび、爪を立てられるたび、言葉で詰られるたび、身体は愛撫と受け止め甘い蜜をペニスから滴らせていたが心はされる度にギタギタに傷つけられていた。

「ハァッ、は、う、いた、っ…いたいよ、ひじかたさん…」

思わず滲んできた涙を隠す為拘束されていた手をなけなしの力を振り絞って振り払い、両方の瞳を手の甲で隠す。漏れる嗚咽は嬌声で誤魔化した。痛みを何の迷いもなく快楽へと変えてくれる身体が憎かった。厭わしかった。痛みを痛みとして感じられていれば、心が傷つけられるのに気付かなかったかもしれないのに。

「アっ、あ、ぁ、っ、…くっ、」

せめて、せめて、何にも考えられないくらい激しく痛めつけて犯してくれればいいのにと思う。土方はギリギリのところで理性が保つ痛みと快楽しか与えてくれない。何もかも忘れられるくらい、何にも考えられないくらい、酷くしてくれればいいのに。中途半端な刺激しか与えてくれないのはそれによって沖田がより一層苦しむ事を分かっているからか沖田の身体を労わってなのか。沖田にはどちらか見当もつかなかったが分かる事はただ一つ。

「(どんなにひどくされても、おれはひじかたさんがすきなんだ…)」

あんまりにもあんまりな恋愛を強いられてそれでもただただ土方が好きな自分が可哀想を通り越して滑稽に思えて沖田は音もなく笑った。


END


 

 染明王 050130