土方は酒がまわると饒舌になる。
土方が酔う度に沖田は身体をべたべたと触られながら女には深く関わらない方が良いだの苦労は買ってでもした方が良いんだのとくだらない話を聞かされるのだ。
そんな中で毎回話の中に出てくる言葉が「総悟ォ、お前も昔は可愛かったのになァ」 だった。
沖田はそう言われるのが嫌いだった。今は可愛くないのかと、ついつまらない事を思ってしまう。
確かにここ数年でかなりひねくれたと自分でも分かってはいるがそう何度も何度も言わなくて良いではないかと思う。そんなに言うほど今の自分は可愛くないか。

今日もその話が出てき沖田はほんの少し眉を寄せた。

「ちょこちょこ俺の後ろついてまわってよォ…ウサギさんとかリスさんみてぇだったんだよ。…オイきーてんのか総悟ォ」
「…きいてまさァ」

ぐい、と肩に回されていた腕で軽く首を絞められて沖田は返事を返した後うんざりしたように溜息を吐く。その溜息に何溜息吐いてんだと首を絞める力が強くなったものだから沖田は腕を離して貰おうと土方の腕を強く引いたのだが、離れない。横目で土方を見るとぐいと酒を呷っているとこだった。

「ちょっとひじかたさん、首絞まるんで離してくだせぇ」
「…やだ」
「何子供みてぇな事いって、…!」

珍しく子供っぽい口調の土方に沖田は酔っ払う土方も可愛くて良いかもしれないと思う。そう思った沖田が途中で言葉を区切ったのは土方の手が自分の太ももに触れたからだ。
首を絞めていた腕はまた肩に回されていてその手の平は沖田の細い肩を掴んでいた。太ももに触れている手はどんどんと奥に進んでいって一番奥の沖田の最も敏感な部分に触れようとしていた。けれども触れられる寸前に、沖田はその手の上に自分の手を乗せギュ、と抓ってやる。

「なんですかィこの手は」
「さわりてぇって言ってる」
「馬鹿言ってると殴りますよ」
「どうぞ」

そう言って土方は何の躊躇いもなくぎゅむ、と沖田のペニスを握った。ツキンと感じた痛みとけれども酒のせいで少し熱くなっている土方の手の平の温度と感触に感じてしまい沖田は身を震わせる。それから土方は優しくペニスを揉んできた。
抓って、触るなと言う事を態度で示したのに構いもしない土方にむかつき沖田はバシッと強く土方の背中を叩いてやった。けれどもビクともしない。それに沖田は更にむかついて続けてバシッバシッと土方をぶってやる。
流石に何度も叩いていると土方が顔を上げてきて目付き悪く沖田を睨みながら言ってきた。

「こら、何度叩きゃ気がすむんだよ」
「……ひじかたさん殴りますよって言ったらどうぞって言ったんじゃないですか」
「じゃああれ取り消し」
「なにそれ!」
「お前今16発叩いたよなァお前もおんなじだけ叩いてやろーか?」
「……」
「たたかれてーのかって聞いてんの」
「…っヤッ!」

16発なんて、そんな細かい事数えてんじゃねぇよ、思いながら黙っていたらパンッと剥き出しになってた太腿を叩かれて沖田は顔を顰める。酔ってるせいなのか素なのか理不尽な事を言ってくる土方に沖田はどうしようかと思う。理不尽でもなんでも、沖田は土方の言う通りにせざるを得ないのだ。無駄に逆らうと痛い目を見るだけだ。
じんじんと痛む腿に沖田は泣きそうになる。

「土方さん、意地悪言わないでくだせぇよ…」

酔うと土方は力加減が上手くできなくなるのだ。
素面の時もプレイ中、平手で叩かれる事は何度かあったがある程度手加減してくれているのが沖田にも分かった。しかし酔っている時は腕を掴まれるにしろ抱きしめられるにしろ叩かれるにしろ全く手加減してくれていない。
証拠に今叩かれた腿が一部分真っ赤になってしまってる。

沖田は本当に困ったように、そう言ったのだけれども土方の頭の中に情けと言う言葉はないのだろうか。また手の平を振り上げてパァンッと高い音を立てさせ沖田の肌を打った。

「やっ!…ひじかたさんっ」
「どうせ叩かれても感じんだろ。いーじゃねーかよ」
「いやっ、もっ、やでさァ!」

先ほど叩かれたところと同じところを叩かれて、痛みが倍になり沖田は涙を滲ませながらそこを手の平で撫ぜた。しかし痛みはすぐには消えず沖田はそのままそこを撫で続ける。撫でる事でそこを庇う事にもなっているのだ。2回も手加減無しで叩かれたそこだけはもう叩かれたくなかった。
痛みと屈辱に唇を噛み沖田は俯く。けれども土方はくいと沖田の顎を上げて昂揚したような顔で言ってきた。

「お前叩かれる瞬間すっげぇ可愛い顔してんだぜ…」
「しらないでさァ…そんなこと…っ」
「もっと見たい」
「迷惑!」

叫んだら腿を触っていた手を無理にはがされてまたそこをぶたれる。沖田の顔が激痛に歪んだ。

「っツうぅっ!」
「その顔だけでイけそう」
「変態!」

言うとまた同じ所を叩かれて沖田は痛みにギュウと目を瞑った。
沖田は痛みも感じていたがそれと共に惨めさも感じていた。叩かれると悪い事をして仕置きをされている小さな子供のようで、恥ずかしい。
沖田はふ、と小さい頃悪戯をすると土方によくぶたれていたのを思い出した。

「そうそうさっきの話の続きな、」
「……」
「昔もこうやって叩くとオメェ、やん!とか言ってさ…。かんわいかったなァ」
「幼児虐待でさァ!」

憎まれ口を叩くとバシィッと一際強く叩かれて沖田は高く声を上げる。しかし自分が昔ぶたれていた事を思い出したのと同時に土方もその話をしてきたものだからある訳がないのに心を読まれたのかと焦った。

「叩く度にきゃんきゃん言うもんだから手振り下ろすのが可哀想になったりしてよ」
「余計叩きたくなったんじゃないんですかぃ…」
「ばーか、チビに欲情するかよ」

そう言って土方は自分が叩いて赤くなってしまっている腿を優しく手の平で撫で回した。それがゾクゾクくるほど気持ちが良くて沖田は目を閉じる。

「昔は可愛かったけど」
「……」

しかし気分の良さはその土方の一言で吹っ飛んだ。閉じてた瞳を開きまたその話かと沖田は眉を顰めた。もう、うんざりだ。そう思いしかし次の言葉が予想外のもので沖田は目を見開く事となる。

「今は、色っぽいよ」
「…っ」
「すっげぇ、興奮する」
「…へんたい…」

また憎まれ口を叩きけれども沖田は嬉しさを隠し切る事ができず土方に抱きついた。


END


土方に叩かれ隊 

 執染着 050319