|
沖田は自分の中の土方への想いが酷く高まるのを感じる時があった。土方が愛しくて愛しくて堪らなくなって何をしてても土方の事ばかり考えてしまう、そんな時が。 そんな時どうすれば良いのか分からなくて、一人でその感情を鎮めたいのだけれどもそれは無理で沖田は夜、土方の部屋へと行くのだ。 今日はまた一段と土方が恋しくて我慢し切れなくて沖田はスッと自分の部屋を出るとそのまま土方の部屋へと向かった。 「ひじかたさん…」 呟くと沖田はきゅ、と土方の服を握って、けれども土方の顔を見る勇気はなく視線を下にやっていた。 沖田が甘えてくる時、土方は大抵沖田に冷たく接していた。頬を優しく撫でるその手を、自分をきつく抱きしめるその腕を、激しく甘く付けられるその唇を、沖田が求めて求めて止まない事を、欲しくて欲しくて堪らない事を知っていて、土方は沖田を突き放すのだ。絡めてきた腕をパシンと叩き落した時の沖田の表情と言ったら、その沖田の顔以上に自分の心をそそるものなど今まで見た事がないと土方に思わせるほど、セクシュアルだった。 いつ突き放してやろうか、突き落としてやろうか、それを考えるだけで顔が緩む。 冷たく接されるのを知っている沖田はけれどもこんなに傍にいるのに抱き締めて貰えないのが耐えられなくて戸惑いがちにペト、と土方の胸に寄り添った。拒まれる事を知っていてけれども近付かずにいる事なんてできなくて。 そして勇気を出して土方を、見上げた。不安と怯え、それと僅かな期待が込められている瞳で。 土方はこちらを向いていなかった。もし冷たく見下ろされていたら深く傷つく事になっていただろうと思う沖田は良かったと思う。 寄り添っているのに何も言わない土方を良い事に沖田はそのまま土方の首に腕を回しキュ、と抱きついた。 土方の匂いと体温に身体が幸せを感じ沖田は息を吐く。すり、と身体をすり寄せ土方の身体に自分の身体を押し付けるようにするとペニスが反応し沖田は抱きつく腕に力を入れた。 「ひじ、かたさん…」 「……」 「ひじかたさん…」 「……」 「ひじかたさん」 何度も何度も名前を呼んでなんとか先走る感情を抑えようとするが無理だった。 だらしなく下ろしている腕できつく、この身を抱き締めて貰わなければ、激しく口腔を貪ってくれなくては、痛いほどに、涙が溢れてしまうほどに、乱暴に抱いて貰わなければ、今の熱く昂ぶりだしている土方への想いを抑える事なんて、無理だ。 せめて何らかの反応が欲しいと、思った。冷たく突き飛ばされても良い、近付くなと低く言われても良い、黙っていられるとどうしたら良いのか分からなかった。 沖田は堪らなくなって抱き付いていた身体を離すと無理に土方と視線を合わそうとする。顔を向き合わせてけれども視線は合わせてくれない土方に泣きそうになった。しかし走り出した衝動はもう抑える事ができなかった。ちゅ、と、唇を触れあわさせたのだ。柔らかな唇の感触に沖田はもう何も考えられなくなって顔の角度を変えて土方の口の中に自分の舌を差し入れた。暖かな土方の口の中が気持ち良くて沖田は夢中で土方の口腔を貪る。 しかし不意にぐい、と髪を強く後ろに引かれて唇が離されてしまった。名残惜しそうな顔をする沖田を土方はきつく睨んだ。それに沖田が目を伏せた途端髪を掴んだままパンッと頬を高い音がするほど強く叩いた。 「うっ、…」 激しい痛みに頬を手でおさえようとする沖田の手を引っ掴んでもう一度同じ方の頬を打つ。痛みに歪む顔を見ながら土方はもう一発、頬をぶってやった。 「い、…いたっ、いたい…」 沖田は腫れ上がりじんじんと痛みを訴えてくる頬に涙を滲ませながらしかし安心していた。さきほどまであんなにも飢えていたのが嘘のように、安心していた。ぽっかりとあいていた穴の中を少し埋められた気がした。 叩かれて満足してしまう自分が嫌でけれどももう今更どうしようもなくて、もう一度土方が手を振り上げるのを見た後沖田は目を閉じその後加え続けられた痛みに耐えた。 END |
| 上手に心をコントロールできない沖田くん 恋する心臓 050328 |