沖田は夜、どうしても一人で寝る事ができなかった。
9時を過ぎるともう眠くなってきて、寝ると言うと土方が寝かしつけてくれるのだけれども夜中、どうしても目が覚めてしまうのだ。そうなるともう眠れなくて、目を開けても閉じても真っ暗な世界が怖くて、沖田はギュっと縮こまる。そのままでいると寂しさや不安にじんわりと瞳に涙が滲んできて沖田は一人枕を濡らすのだ。

ひくっと嗚咽を噛み殺しながら、ぽろぽろと涙を流しぬくもりが欲しくて沖田は起き上がる。とたとたと頼りない足取りで、沖田が向かうのはいつも土方の部屋だった。

部屋までくると起こさないように、沖田はそぅっと襖を開ける。そしてひょこ、と顔を出して土方の寝ている方をただじぃっと見るのだ。土方の近くへ行って、土方の隣に潜り込みたいのだけれども、沖田は自分から何かを欲求したり強請ったりする事が今までにあまりなくて、苦手だった。
自分が隣にもぐりこんで、土方が起きて、もしも嫌な顔をされたら、でていけと言われたら、そんな事普段の土方の様子から言って絶対にありえないのだけれどもそれを想像すると怖くて自分から行動できないのだ。
けれどもそのまま部屋に入れずにいると必ず、土方は起きてくれてぽんぽん、と自分の隣を叩きながら言ってくれるのだ。
今日も、そうだった。

「おいで」

優しい声に心の中が暖かくなる。おいでと、そう言われるのが沖田は好きだった。自分を取り巻いていた恐怖心や不安感が消えホッとできた。たたた、と軽い音を立てて走り沖田は土方の隣にもぐりこむ。
もぐると穏やかなぬくもりと土方のにおいに包まれて凄く幸せな気分になれた。すりよると土方が腕を回してきゅうと抱き締めてくれる。
少し笑う声が聞こえて土方が苦笑しながら言った。

「総悟は本当にいつまでたっても子供だなぁ」
「……だって、」
「ちゃんと一人で寝れるようにならないとだめだぞ」
「…うん」

そう言いながらも優しく頭を撫でてくれて沖田はきゅ、と土方の服を掴む。ぽんぽん、と優しく背中を撫でるように軽く叩かれるのが気持ち良くてすぐにとろんとした眠気が沖田を襲ってきた。

すぅすぅとすぐに穏やかな寝息が聞こえてき土方は苦笑をする。本当に、沖田は何にも知りはしないんだからと土方は内心呆れたように思いけれどもまだ知ってしまうのには早すぎるかと思い直す。そして無防備に眠る沖田の額にそっと、唇を寄せた。


END


何にもしないで一緒に寝る土沖、好きなんです  

 小さな私 050422