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懲罰室の前まで来ていた沖田はけれどももう10分ほどそこに立ち尽くしていた。何度も手を上げノックをしようと試みたのだけれどもこれからされる事を思うとどうしても上げた手でドアを叩く気になどなれなかった。自分からこの中へ、何時間も苦痛を与えられるのだろうこの中へ、入る勇気などあるはずが、ない。入るのが遅くなれば遅くなるほど土方の機嫌が悪くなりより酷く罰せられるだけだと言う事は頭では分かっているのだけれども。 やはり、ダメだ。 そう思い沖田は上げた手をまた下ろした。何度目だ、これで。そう思って、本当にどうしようかと、こうなったらこのまま逃げてしまおうかと、そう思った瞬間。 「おい、総悟」 「っ!」 閉まったままのドアの中からいつもより大分低い土方の不機嫌そうな声が聞こえてき沖田の身体が弾かれたようにはねた。ふるふると小さく肩が震えだしたのが沖田にも自分で分かった。 「そこにいんのは分かってんだよ。早く入ってこい!!」 最後は怒鳴るようにそう言われて反射的に沖田の右手がドアのノブにかかる。しかしやはり怖くてドアを開ける事はできなかった。そのまま何にも言えず何にも行動できず、沖田が直立不動しているとまたも中から怒鳴り声が聞こえてきた。 「総悟!!」 先ほどより大きい声だった。沖田の顔が泣きそうに歪められる。そしてう、と、小さく唸った。このままでいたらきっと土方がドアを開けて無理に部屋の中へ入れられて、いつもよりもっともっと何倍も酷い事をされるに決まっている。土方は自分の意思で罰を受けると言う事を望んでいた。強制的に受けさせられた罰は素直に罰を受けた時の何倍もキツイものだった。 だから沖田は本当に勇気を振り絞って、ドアのノブをぐい、と回しそして扉を開いた。 「……」 それから下を向きながらゆっくりゆっくりと怠慢な動作で部屋の中へと入る。パタン、とドアを閉めてそのドアにもたれ掛った。土方がこちらを見ているのが見なくても分かる。痛いほど見つめられて沖田は物凄く居心地が悪かった。 その後何分か沈黙が続いて、その沈黙を破ったのは土方だった。 「こっち、こい」 「……」 静かに、土方が言った。ぴく、と、沖田は小さく身体を揺らす。恐る恐る土方を見上げ、けれども見えた土方の瞳が思っていたより厳しく自分を見据えていて慌てて目を逸らした。逸らしたのだけれども、その瞳が忘れられずあの目でキツク自分を見ているのかと思うと怖くて身体が固まってしまった。 沖田が動けないでいるとハァと、土方はこれ見よがしに深く溜息を吐いてそれから大声で言った。 「こっちこいっつってんだよ聞こえてんだろ!」 ひくんっ、と沖田の小さな身体が震える。泣きそうに顔を歪めさせて、それでも沖田は動かなかった。土方はそれに苛立たしげに舌打ちをした後、ツカツカと沖田の傍へと寄ってきた。 「やっ」 沖田は急いで部屋を出ようとしたけれども遅かった。ぐいと手首を掴まれて大きな音を立てて強く壁に押し付けられてしまう。 「アッ!」 身体を乱暴に扱われその痛みと土方への恐怖に思わず沖田の大きな瞳に涙が溜まった。 「ったくオメェは手間がかかる奴だな」 「……っ」 心底呆れきったように言う土方に今日の仕置きは大分きつくなりそうだと、沖田は予測する。 怖くて、沖田の頭には逃げる事しか浮かんでいなかった。強く掴まれている手首を離して貰おうと自由になっている手の方で土方の手を剥がそうとするけれどもそれは無理で代わりにその手をパシンッと土方に強く叩かれてしまう。 「何やってんだよ」 不機嫌な声でそう言われて沖田は唇を噛んだ。黙っていると自由だった方の手首も掴まれ壁に押し付けられる。痛みに顔を顰めていると腕を頭上に一括りにされた。そして余った方の手の甲でぺちぺちと頬を軽く叩かれながら目を無理に合わせられて土方に低い声で脅されるように言われる。 「いっつもいっつも抵抗すんなっつってんだろーがよ」 「いや…、土方さっ、ご、ごめ、ん、…なさ」 「……」 ごめんなさい、は沖田が言うのを嫌う言葉の一つだった。それを惜しげもなく言ってしまえれるほど、今の沖田には余裕がなかったのだ。土方も「ごめんなさい」なんて言葉、いつもの沖田が素直に言わない事は知っているので少し驚くがけれどもそれを表情に出す事も仕置きを緩くしてやろうなんて事も思わない。 「覚悟しとけよ」 一言低くそう言って、余計に沖田の顔を歪めさせただけだった。 END |
| ごっめーん☆ 鞭打つとこまで書きたかったんだけど、今書いてるもう一つのネタの方でも鞭打ちがあるからダブるなって思って省いちゃった☆(軽い感じで言ってみましたいやあの本当なんか、すいません…いえあの色々と、すいません…) ちゅううどく 050514 |