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土方さんっ、そう高い声が聞こえてきて土方は振り向いた。そして驚いた。沖田の着物が思い切り肌蹴ていたのだ。肌蹴たままパタパタと勢いよく走っているものだから胸元からは最近膨らみ始めた乳が覗いてい、下からは白い足が見え隠れしている。もういい年頃になってきていると言うのに、未だに自分の身体を惜しげもなく晒し外をうろつく沖田に土方はいい加減怒鳴ってやろうとしけれどもそのまんま勢いよくどんっと抱きつかれタイミングを逃した。 「ひじかたさん!」 「総悟…おまっ、どうしたんだ」 沖田が顔を上げ見えた瞳に涙が溜まっていてドキリとする。今にも泣き出しそうに歪んでいる沖田の顔に土方は喉まででかけていた怒鳴る言葉を押さえ込んだ。沖田は土方にギュウと強く抱きつきながら、小さい声でボソリと言った。 「し、しらないおじさんに…」 「おじさんに!?」 土方が大きな声で聞き返すと沖田の身体がビクリとはねる。脅かしてしまったかと思いながら土方は沖田が先に言う事を予測し、いやいや待て待てそんなとその考えを否定しつつもそれ以外に考え付かずごくりと固唾をのんだ。そして先走る思いを抑え沖田の話を促す。 「さわられた…、からだ…」 「…!」 「ふく、ぬがされて…」 「……総悟ォ、…ちょっと待ってろ。今俺の持てる勢力全部使ってそいつぶっ殺しに行くから」 想像していた通りの言葉だったけれども沖田の口から伝えられたそれにプツン、と何かが切れフラァ、と眩暈がした。けれども土方は倒れる事はせず代わりにしっかりと足を踏ん張りポキポキ、と指を鳴らす。ギスギスとドス黒いオーラを纏わせそのまま何の害も無い人まで殺しそうな勢いの土方はしかしキュ、と沖田に服を掴まれて足を止められた。掴まれた方を見ると沖田は土方に抱きついて安心したのかもう何でもないような顔をしていて。 「思い切りぶっとばしたからもういいでさァ」 気持ち悪かったけど、まぁ、もういいや、うんと続けてあっさりとそう言った沖田に土方はアァ、と頭をおさえる。お前犯されかけたんだぞコラァもうちょっと貞操意識持てコラァア!そう言ってやりたかったのだけれども沖田をこんなにも性に疎く育てたのは自分で、沖田に文句を言う権利はない。ハァと溜息を吐くと土方はタタタ、と前を小走りで行く沖田の後を追う。けれどもとりあえず余り傷ついている様子ではなかったので良かったかと思い(いや傷つかないのは傷つかないので問題なのだけれども)元気な沖田のその後姿を見ていたのだがその沖田の足がピタと、止まった。 「ねぇ、ひじかたさん」 そして振り返り大きな瞳で土方を見上げながら、沖田が土方に話しかける。次に聞かれたその質問に、土方は折角落ち着きを取り戻しつつあった心の臓をまた思い切りはねさせる事になった。 「なんで、土方さんとおれのからだちがうの…?」 「えぇ!?…………えっ、…あ、や、…」 いきなりの突拍子も無い質問に土方は焦り、どもる。沖田はそんな土方を少し不思議そうに見て小首を傾げながらけれども話を続けた。 「前から思ってたんでさァ、ちがうでしょう、俺と土方さんのからだ」 「……やっ、そりゃ、うん、まぁ」 沖田からの初めての男と女に関する質問に、口篭ってしまう土方。それより、どうして身体の作りが違うのかすら知らなかったのかと、土方は改めて自分の性教育がどれだけ出来ていなかったかを知り頭が痛くなった。土方だけでなく男所帯の中たった一人の女である沖田に、誰も性についての話をしなかったのだ。結果ここまで純真無垢に育ってしまったらしい。 「…なんで?」 「……や、あの」 真っ直ぐな瞳に見つめられながら問われ思わず目を逸らしてしまう。それに沖田はむ、としたのかピンク色の唇を尖がらせた。そしてギュムッ、と、土方の股間を掴んだのだ。 「うァっ!コラ総悟!!どこ触ってんだ!!」 「っ痛!」 それに吃驚し土方は慌てて自分の股間に伸びる白いその手首をギュ、と掴んでそこからのける。珍しく怒鳴られた上強く手首を掴まれその痛みに沖田は顔を顰めた。そして再度問う。 「ひじかたさんには、あるのに、おれにはない…。なんで?」 「……俺もシラネェ」 「えぇ」 土方は何て答えて良いか分からなくて取り合えず当たり障りなく返事を返す。けれどもその答えでは満足できなかったらしく沖田は不服そうな顔をしていて。その顔のまま沖田は今度は土方の手をとると自分の股間へとあててきた。 「っ、総悟!!」 かぁっ、とガラにも無く一気に顔が赤くなる。慌ててバッと沖田の手を振り払うが感触がまだ残っていやっべぇ、と思いながら土方は口を手で覆った。 「おじさんがね、ココばっか触ってきたんでさァ…」 「…あ、そうなの……」 その言葉に変態クソじじいが…、と静かに心の中でキレながらしかしさきほど触れた沖田の、のせいで少し呆けている土方の口からはやはり呆けた言葉しか出ない。 「なんででしょーねィ…、」 「……総悟、もうこの事は忘れろ」 しかしそう言ってまた首を傾げる沖田に土方は少し落ち着きを取り戻し、ガシッと肩を掴みつつ言った。もう沖田だって10を越えた年で、今この機会にしっかりとした性教育をするのが普通なのだろうけれども、と土方は思ったけれど。やはり、沖田を染めたくないと、思う。今この真っ白な状態のままあとどれくらいいられるか分からないけれども今ここで性について教え込みこの白色を染めてしまうのは忍びないと、思ってしまった。 「?、…なんでですかィ?」 「いいから」 沖田はまだ不服そうで一瞬また口を開き抗議を言葉にしようとしたけれども、土方の様子が真剣そうだったので、やめた。まあいいやと心の中で呟いて土方を見上げる。沖田が納得したと思った土方の顔は安堵に満ちていて。土方さんが安心してくれるならいつまででも子供でいてやりやすぜィと、沖田は静かに思った。 END |
| うちのチビ沖田はどこまで純粋なんだと突っ込んでみたい
エゴイズム 050805 |