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あっちゃー、と、土方は思った。 手首足首についている縄の痕、赤く腫れた頬、体中に残る口付けの赤い印、泣き腫らした、目。隣で眠る沖田のその一つ一つを確認しながら昨夜自分がした事を土方は思い出す。また酷く抱いてしまったのかと、土方はすやすやと疲れを取り戻すかのようにひたすら眠る沖田を見ながら後悔の念にかられた。 土方は今まで何人もの女と付き合ってきていて、乱暴なセックスをした事も何度かあったが沖田に対してするほど酷い事はしたことがなかった。セックスはお互いが満足し合う事を目的としたものでもあるけれども土方は沖田以外の人間とセックスをして満足した事はない。満足ができるまで女を抱けば女の軟い体は壊れてしまうだろうから、いつも理性を壊さないままで女を抱いていたのだ。 しかし沖田には、何の躊躇いもなく朝自分が後悔してしまうほど酷い事をしてしまえれる。それは、沖田が男だからとか今まで抱いた女を大事にしたいと思うほど沖田を大事にしたいと思ってないからとか、そういう理由ではないと土方は思う。 寧ろ逆で沖田の素肌を見ると、沖田を好きにしてい良いのだと思うと、自分の欲望を上手く抑える事ができないのだ。沖田の艶っぽい表情、仕草を少しでも見ると、どうしようもないほど己の欲が高まって"可哀想"だと思う気持ちがどこかへいってしまう。 つ、と、沖田のくっきりと痕がついてしまっている手首をなぞる。今こんなにも、沖田が可哀想で優しく抱き締めてやりたくて、今なら凄く大事に大事に抱いてやりたいと、慈しみの気持ちでいっぱいなのに沖田の体に残る痛々しい傷が土方にこんなに酷く抱いたのに、今更そんな事を思って良いのかと躊躇わせた。 手首を撫ぜる手を次はでこの方へやって(土方はあまり覚えていなかったがそこも腫れているのできっと床にぶつけさせたのだと思う)そこをまた撫でる。痛かったのか沖田が少し顔を顰めて、ん、と唸った。それに土方は反射的にそこから手を離して、一瞬後離して本当に良かったと思う。沖田が、目を覚ましたのだ。 「…ひじかたさん、おはよう」 「ん、」 昨晩いっぱい喘いで叫んだせいだろう、声は掠れていてそれがまた土方の申し訳なさを煽る。少し後ろめたくて瞳が合わせられない。いつも、そうだった。それに沖田も瞳を伏せさせる。 「ねぇ…」 しかし沖田が話しかけたものだから、顔をあげてしまってそれによって沖田の瞳を伏せさせた寂しそうなしかし色っぽいその顔を見てしまった土方は心臓を鷲づかみにされた気分になった。だからえ、なに、ワンテンポ遅れて土方は返事を返す。 沖田は少しその言葉を口に出すのを躊躇うように一度口を開いて閉じて。それからまた開いてキュ、と震えだしそうな指でシーツを掴みながら、消え入りそうな声で、言った。 「…ひじかたさんって俺とせっくすすんの、やなんですかぃ…」 「………は!?」 しかし出てきた沖田のその言葉は土方にとって全く予想だにしなかった言葉で思わず気の抜けた声が出てしまう。 「な、何、言ってんだ」 「だってアンタ、朝起きるといっつもイヤそーな顔してる」 「え…」 「目すら合わせてくんねぇじゃん」 「それは…」 確かに嫌そうともとれる顔で目を合わす事もしなかったけれどもそれは後ろめたいからであって決して沖田とセックスをするのが嫌だったからではない。そんな風にとられていたのかと、土方は驚く。 沖田は「それは」から言葉をつまらせる土方に自分の考えが確かなものだと思ったのだろう、悲しそうに眉を寄せて瞳に涙を滲ませてきた。それをばっちりと瞳にうつしてしまった土方は物凄く焦る。赤く腫れた目に、これ以上涙を浮かばせる事なんてさせたくなかった。 「ね、嫌いなんでしょ」 「ばっか言ってんじゃねーよ…」 そういって詰め寄ってくる沖田に土方はバツが悪そうに、そう言ってそっぽを向く。うそでィ、呟く沖田を起こすと土方は間髪いれずにギュウと抱き締めた。ひくんっ、と腕の中で沖田の体がはねたのが分かる。くるしい、沖田が吐息と一緒に言葉を吐き出したけれど土方はきつく抱き締めたまま離さなかった。 「ひじかたさん…?」 「嫌いなはずねぇだろーが」 「…」 土方の唇は沖田の耳の近くにあって聞こえた言葉をとても近くに感じさせ体をとろかせるように響いてでまるで熱を持っているようだと沖田は思う。この身を溶かしてしまいそうなほど、あつい。 浸るようにうっとりと沖田は瞳を閉じる。 「っつーか、」 そこで土方は一度唇を閉じて、沖田を強く抱き締めなおした。 「わりィ…、優しくしてやれなくて」 「…!」 「本当はもっと、大事にしてーんだけど、」 「そんな…」 「お前見ると、…うまくいかなくて」 ぽつりぽつりと言う土方に沖田は思わず笑みが零れる。土方の説明は言葉足らずだったけれども沖田は全てを理解した。そうだったのかと、土方に抱かれた朝に感じていたもやもやが一気に解消される。 「そんな事気にしねぇで、良いのに」 「だっておまっ、痕すげぇーぞ、痛ぇだろ」 そう言って土方は抱き締めたまま頭を撫でる。それが少し気恥ずかしくてけれども気持ち良くて沖田は土方がするがままに任せた。 「いたくっても、土方さんの愛いっぱい伝わってくっから、良い」 「…っ」 馬鹿言ってっと襲うぞ、そう言って沖田が返事を返す前に甘く口を塞がれて、すぐ離される。瞳が合うと何故だか気恥ずかしい気がして沖田は照れたように笑ってみせた。 END |
| まぁ、たまには土方に後悔させてみるのも良いかと思いまして(何様なの) しかし恥ずかしいんだよてめーらよ 愛におはよう 050913 |