うっわ最悪。土方は心の中で小さく呟いた。
先ほどまで憎たらしいほどさんさんとかがやいて肌をじりじりと焼いていた太陽は少し身を隠したかと思えばそのまま雲に覆われ代わりに今大地には大粒の雨が降り注いでいる。
傘を持っていなかった土方は一応せめてもの防御にと持っていたかばんを頭の上にのっけてみたけれどもあまり意味はなくてすぐに全身がびしょ濡れになって不快さに顔を顰めた。まだ屯所までは距離がある。ここまでずぶ濡れではタクシーも乗せてくれないだろう。土方はどこか雨宿りする場所を探していた。

暫くして土方は雨宿りする場所を見つけたのと同時に、沖田も見つけたのだ。人通りが少なかったのですぐに目が入った。酷い雨なのに傘を差す事も急ごうとする素振りも見せずとぼとぼと歩いていた。薄暗い中でも目立つ金髪は少し項垂れているようにも見える。

土方は沖田が自分に全く気付く様子もなくすれ違っていこうとするものだから、おいと肩を掴んだ。それでも気付かなかったのか沖田はそのまま歩こうとししかし土方の肩を掴む力は強く沖田の歩みは止められる。沖田はゆっくりと、土方の方を見た。

「おい、総悟」
「土方さん…どうしたの」
「……どうしたのって…」

言いたいのはこっちなんだけどなぁと思いながら土方も沖田を見る。どこか気だるげな様子の沖田に土方はどうしたんだと思った。とりあえず、腕を掴み見つけた雨宿りをする場所へと連れて行く。


「お前はね、どうしてもう少し自分の身を濡らさないでおこうと思う事をしないんだよコラ」
「めんどい」
「あ、…そ」

沖田の突飛な行動はいつもの事だと、何を言っても無駄だと、思った土方は座り込むとふぅと息を吐いた。煙草を吸いたいと思ったけれどもライタも煙草も湿っていて不可能だった。いつもは煙草を吸って気を紛らわしている為何も感じない沈黙も今は重く感じ土方は持て余す。ちらと沖田を盗み見てみると空ろな様子で雨を見つめていた。
その体からはぽたぽたといくつも雫が滴り落ちている。水分を払おうとしない沖田に土方はせめて髪だけでも乾かしてやろうと思い沖田に触れた。

「うっわ、つめて」

しかし触った瞬間その肌の冷たさに土方は声をあげた。土方よりも長い間雨に身を晒していたのだろう。自分より大分冷たい肌に土方は吃驚した。

「さむいだろ、お前」
「うん、さみィ…」
「ばっか。自業自得だろーが」
「うん」

さむい、もう一度言って身を震わせる沖田にしょうがないなと一息吐くと肩を抱き寄せてやる。冷え切った体が沖田に比べたら幾分か熱のある土方の肌に触れた。そこから温もりが伝わって沖田をあたためる。沖田も土方の方にもたれかかってきて、甘えるようにきゅ、と土方の服を掴んだ。目を閉じて大人しく自分に身を任せている沖田が土方には可愛くてしょうがなかった。
手ぇ貸せ、言うと沖田が返事を返す前に沖田の両手をぶんどって土方は自分の手の平で包む。そしてはぁ、と息を吹きかけてやった。元々白い指は体温を奪われ青白くなっていて、小さく震えている。それが可哀想で、土方はぺろと思わず指を舐めた。
あ、小さく沖田が言ったのが聞こえて土方は上を見る。沖田は笑っていた。

「土方さんのべろ、あったけぇ」

そしてもっと、そう言って目を瞑った。

「犯すぞ、ばか」

あんまりにも無防備な沖田に土方は目を逸らすとぶっきらぼうに言う。沖田は少し黙った後土方に正面から抱きついた。そしてここ、そう言って自分の首筋を指差した。

「ここも、舐めて」
「…っ」

そこは沖田の性感帯の一つだった。土方は言われるままにそこも舐める。ぴくん、と沖田の体が反応を返した。きもちいい、沖田が小さな声で言う。冷えた土方の体に一気に熱が湧いた。総悟、呟いてキスを、しようとしたのだけれども。

「………ねてやがる…」

後ろ髪を優しく掴み顔をあげさせると、すー、と、寝息をたてて寝ている沖田の顔が目に入り土方は一気に萎えた。はぁあ、と深い溜息を吐く。
なんなんだっつーの、呟いて土方は沖田の顔を見た。その顔はとても幸せそうで、良く分からなかったけれども土方も少し幸せな気分になれたのでまぁいいかと、思った。


END


雨の日はなんか憂鬱になる沖田君のはなし(どんなの!)  

  050918