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部下のミスは上司の責任だと沖田は強く思っていた。 カバーできる事は何でもやったがしかしそれでも、沖田が自分のできる事を全身全霊を込めてやっても、それだけじゃ片が付かないような問題が起こる事もある。 そういう時に必要なのは他の何でもない。権力、だ。 きっかけがどんなんだったか沖田はもう忘れていたけれど初めてそれを命じられた時、嫌悪感だとか気持ち悪さだとかそんなものも確かに感じもしたがしかしそれ以上に安堵したのを沖田はよく覚えていた。 これであの件はもみ消してもらえる、自分がそれをしてそうして貰えるのなら喜んでしようと思った。自分が役に立てて光栄だとさえ思った。 昔、犯されかけて無理矢理フェラをさせられた事のある沖田はフェラなんて2度とするものかと、汚らわしいと、思っていたけれども今沖田はフェラチオと言う行為があると言う事にすら感謝していた。 沖田は手馴れたように下着からペニスを出すと何の躊躇いもなくそれを口に含んだ。始めは吐き気を催した独特の臭みに慣れたのはいつ頃か。沖田は何も考えずに男の性感を高めてやる事ができた。少し苦しそうな顔をして男の欲を煽ってやる事も、喜んでやってるように見せるのも、沖田にはもう簡単な事だ。 チュッと、少し強く吸えば欲情が高ぶったのだろう、髪を強く掴まれてペニスを喉奥に押し当てられた。沖田は演技ではなく苦しそうに眉を顰めて生理的な涙を浮かばせる。髪を掴まれたまま顔を上下に動かされて流石に吐き気がした。それでも懸命に舌を動かして射精を促してやる。早くイけ、早く。ただそれだけを思って巧みに舌を操った。 男の荒い息とちゅくちゅくと言う濡れた音だけが響く部屋。その部屋に、突如ドアが乱暴に開かれるバンッ、という大きな音が響いた。沖田は2人目かと、半ばうんざりと思ったのだけれども、違った。 総悟。低い声でその人が言ったのが聞こえてビクッと大きく沖田の体がはねた。頭が、真っ白になる。だって、その声は、沖田がこの行為をやってる事で感じる唯一の後ろめたさの一つ、土方十四朗の声に違いなかったのだから。 「あ…っ」 「っに、やってんだてめェは!!」 ツカツカと沖田の方まで近寄っていくと土方は髪を引っ張って沖田の口から男のペニスを抜いた。乱暴に引っこ抜かれゲホゲホと沖田は咳き込む。けれども土方は苦しそうに咽る沖田の髪を掴んだままパンッと頬を張った。 そして何してるんだそんな事してどうなるか分かってるのか、叫ぶ男を冷たい瞳で見下ろしてその男を殴りつけたい衝動を抑えなるたけ冷静になるよう努めた。 「どうぞお好きなようになさってください。この事を世に知られるのは貴方にとっても不利な事だと思いますけどね」 低い声で言って一際強くガンつけるとぐいと沖田の手首を引き部屋を出た。 沖田は土方に手を引かれ半ば引き摺られるように歩きながら、折角あれで厄介な問題を揉み消して貰えれたのに簡単にぶち壊してくれやがって今まで自分がどんな思いでフェラをしてきたと思っているんだと、そう思う。そう思って沖田はどうにかして土方を恨もうと思ったのだけれどもどう思っても何を思っても土方を恨むことなんてできなかった。だって1番自分が悪いのなんて、分かりきっている。 けれどもその選択肢が与えられた時、否と言う事なんて沖田にはできなかった。自分が嫌だからって与えられたチャンスを捨てる事なんて、沖田にはできなかったのだ。 「…近藤さんにだけは、…言わないでくだせぇ。おねがいしまさぁ…」 「っなら、近藤さんに言えねぇような事すんじゃねぇよ!!」 土方は足を止める。縋るように言う沖田の言葉が気に入らなかった。自分には知られてもよかったのかと、自分勝手な事を思ってしまった。あんまりにも放漫で今そんな嫉妬剥き出しの事を言う場面ではなかったので口には出さなかったけれども土方の怒りが余計増す。 「……」 本当は、土方にだって近藤に知られるのと同じくらい、知られたくなかったのに。沖田は思う。 軽蔑されただろうか、呆れられただろうか。だって自分は、こんなに汚い。ただ土方と近藤に知られる事を恐れていただけでフェラチオをする事についてはほんの少しの罪悪感さえ、なかった。賄賂を渡すような卑劣な行為に胸を痛める事すらなかった。ただ問題を揉み消してもらえる事を嬉しいと、思ってしまった。 土方は内心怒りでぶち切れそうで、沖田を殴ってやりたくてしょうがなかった。けれども睨んでやろうと思って見えた沖田の顔が眉を寄せ今にも泣きそうな顔をしてて、怒りが和らいでいく。 「総悟…」 また怒鳴られると思ったのだろう、名前を呼ぶと沖田の体がヒクリとはねた。その沖田の頭に土方の手がゆっくりと伸びて触れる。怯えている様子の沖田に土方は頭にのせた手でそこを撫でてやった。 「お前がそんな事しなくったって、良いんだ」 「……」 頭を撫でられる気持ち良さと胸に響く土方の優しい言葉に、沖田は余計に泣きそうになる。懸命に涙を堪える様子の沖田に庇護欲が煽られた。ポロと、雫が零れ落ちそうになり土方は見ないようにと沖田の顔を自分の胸へ押し付ける。 「馬鹿だろお前」 土方は沖田が人間に対して潔癖なのを良く知っていた。人に触れられるのも触れるのも大嫌いだし人が触った物にさえ触れるのを躊躇するほどで屯所には沖田専用の茶碗やタオルやボールペンなどがいくつも用意されている。 その沖田が、他人のペニスを舐めるなんて、相当の事だということは土方は重々わかっていた。昔襲われそうになった事だって土方は知っていたし、それによって沖田が性に関する事を異様に嫌っているのも知っている。 それなのに、そんなに嫌な事をしていたのは、ひとえに真選組の為だと、分かっているのだけれども。土方はそれをするという選択肢をとった沖田に無性にやるせなさを感じた。 「口、開けてみ」 ふるふると沖田は黙って首を横に振った。いいから、強い口調で言われるけれども沖田は頑なに口を閉じていた。だって汚い。幾度も男達のペニスを含んだ、男達の精液を浴びせられた。そんなところを土方に見られたくなかった。 土方は困ったように眉を寄せる。 沖田はただ下を向いて黙っていた。もう何も喋る気が起きなかった。自分がとても醜く感じてもう土方の傍にいてはいけないような、気がした。 だからきっとこれが最後、そう思って沖田は土方にきつく抱きついた。 END |
| 沖田のあの顔と体を使わない手はないでしょう ね!ね! 罪には罰を 051009 |