小さなことで言い合いになってしまった。
始め何について怒っていたのかもう忘れてしまったけれど今はただこの目の前で偉そうに腕を組んでいる男の言うことも成すことも全てが気に入らなくて沖田はイライラとしていた。怒りのあまり上手く言葉がでてこなくてつい幼稚な事を言ってしまう。

「むかつく!ひじかた、超むかつく!」
「呼び捨ててんじゃねぇよ!」

ぱしっ、と本当に軽く、触れたかどうかくらいの叩くとも言えない弱さで土方が沖田の頭を叩いた。沖田は痛くなんて勿論なかったのだけれども土方が手を出してきたのに腹を立たせる。何すんでィ、言ってバシッと土方の肩を思い切り叩いてやった。

「………」

土方は少し黙ってそれから大人気なくもまた手をあげてきた。今度はそこそこ力を入れて。沖田はまたカチンときてやり返す。そしたらまた土方もやり返してきた。勿論それに沖田もやり返す。
2人は黙りながら暫く叩き合っていた。バシッバシッと叩く音だけが響く。
沖田は何度も叩かれて流石に痛くなってきてそれでも絶対に自分から引くもんかと思っていたけれどもふと考えてみてこうやって叩きあってても絶対に決着はつかないと思いたつ。だって自分が叩くのやめてやんねぇと思ってるのと一緒くらいきっと向こうもそう思っているに決まっている。だったら痛い思いすんのなんか、無駄だ。
そう思った沖田は瞬時に土方に謝らせる方法を思いついた。

「ふっ、…ふぇ…」

ぴた、と、土方の振り上げられていた手が止まった。しめたと思った沖田は持ち前の演技力で何とか体内の水分を上にあげて雫を瞳に溜まらせる。

「うっ、うえぇえんっ…」

そしてガバッとしゃがみ込み(これ以上涙が出ないと思った沖田の顔を見せないための苦肉の策だ)大声で泣きまねをした。土方の体がびくとはねたのに沖田は気付く。自分の涙に土方が弱いことを沖田はとてもよく知っていたのだ。

「ひじかたさんがぶったーー!いたいー!うえぇえんっ」

ひどーい、続けて言う沖田に土方も同じ数だけ叩かれていて、いやそれどころか土方は手加減していたけれど沖田はしていなくてどう考えたって土方の方が痛い思いをしているに決まっていると言うのに、土方にはどっと罪悪感が押し寄せてきて。

「わ、…わる、かったよ」

謝ってしまった。
フッと沖田は心の中で笑う。あせってる土方がおもしろくてもっとあせれって、沖田は思った。

「おい総悟泣くなって」

わたわたした様子で土方もしゃがみ込んできて沖田の頭を撫でる。沖田は土方にどんっ、と抱きついた。

「ひじかたさんは俺のことたたいちゃだめだ」
「…」
「わかったの」
「…はい」

だめだって、えぇお前何様なの?思った言葉はのみこんで土方は小さく返事を返した。


END

どうしても謝らせたかった沖田くん
でも喧嘩って謝った方の勝ちだとあたしは思いますよ(えらっそうに言いやがってコラ)
しかしくっだらねぇな(…)
 

  よわもの 051107