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初めて殺した時は確かに不快感を感じていたのに。思って沖田は首をかしげた。 もともと沖田は自分の感情を知ることに鈍感で今自分が何を思っているのか少し考えてからでないと分からないほど鈍くて、辛いのも苦しいのも嬉しいのも楽しいのも全部感じにくくて、けれどもそんな沖田が人を殺した時あぁと思ったのだ。あぁ、苦しくてたまらないと。 人を殺すのなんて大したことないと沖田はそれまで思っていた。国の平和の為に人が何十人、何百人、死んでしまってもそれはしょうがないことだと。人間1人の命の重さを沖田は全く知らなかった。自分でさえいつ死んでも良いと思っていたし他の人だってどうせいつか死ぬのは決まっていることなのだからそれが少しくらい早まってもどうってことないと思っていた。 しかし実際に人を斬って、その人がぴくりとも動かなくなるのをみて、ぱっくりきれた体から臓器がのぞいているのを見て、沖田は突然悟ってしまった。 この世の摂理を。 人間は、人間を殺してはいけないのだと、唐突に思った。誰が決めたのでもないルールが確かにこの世に存在しているのだと感じた。ルールを破ってしまった自分はどれだけ謝っても許しを請うても自分が死んでも許されることは、ない。知らなかったなんて言い訳通用するわけがない。あぁ、と、沖田は思った。殺す前、自分は何を思っていた? 人の肉の感触は、どんなものなのだろう、血のにおいは?心臓はどんなかたちをしているのか、脳みそが緑なのって、本当?好奇心に満ち溢れていた。楽しみにすら、していた。 罪深いことだととても思った。 仕事だからって、別にこれはしたくてしてる訳じゃないって、思って自分に言い訳して、だけどそれから人を殺した罪だけは忘れてはいけない、これからずっと1人1人殺すたびに自分に災難が起これば良い苦しめればいいそう思って斬っていこうと、それを忘れないようにして生きていこうと、思っていたのに。 そんなこともう随分の間忘れてしまっていた。 沖田は人を殺すことに対して今は何も感じていない。唯一強く感じれた「苦しい」という感情も感じれなくなってしまっていた。 余計な感情は切り捨てた。上手くいらないものだけ切り捨てることなんてできなくて、大事なものもいっぱい切り落としてしまったけれども沖田は満足していた。辛い思いをするより随分ましだ。 どこかおかしくなっていないとどこか狂っていないと人なんて殺して生きていけれない。沖田は自分が狂ってしまえれて、おかしくなってしまえれて、良かったと思っていた。ラッキーだと思う。きっとそうなれる人の方が少ない。 でも、本当は、狂う前に死んでしまえれた方が何十倍も楽で幸運だったのだろうと頭の中ではなく体のどこかでもなくもっと遠いところでだけれど沖田自分自身が確かにその事を理解していた。 だからってその考えが沖田の理念にならないのはやはりどこかおかしくて狂っているからなのだろうか。そんなこと考えるのも今の沖田には馬鹿らしかった。 END |
| ラッキーセブン 051120 |